バイクのエンジンがかからないときのチェックポイント|原因別対処法まとめ

RIDE

ツーリングに出かけようとしたらエンジンがかからない…。モトクロスコンペモデルに乘ろうとしたらエンジンがかからない。
そんな経験はバイク乗りなら一度はあるはずです。原因はさまざまですが、ポイントを押さえて順番に確認すれば、意外とすぐに解決できるケースも多いです。この記事では「バイクがかからないときの基本チェックポイント」をわかりやすく解説します。

まず確認したい基本チェック

  • キルスイッチがONか
  • サイドスタンドが出たままになっていないか(安全装置作動)
  • ギアはニュートラルに入っているか
  • バッテリーの電圧が十分か

上記4つはエンジン始動初期に最も注意する部分です。

まずセル始動が可能なバイクならば、電気的な安全装置が働いている場合が多いです。

最初はキルスイッチ。エンジンOFFのため専用にバイクにはキルスイッチというスイッチがハンドルに付いています。クルマには無い安全装置の一つです。確実にONになっていることを確認しましょう。

2つ目、サイドスタンドにはセンサーが付いており、スタンドが出ている状態ではエンジン始動しない仕様になっています。スタンドはたたんでからエンジン始動開始します。

3つ目、ギヤにもチェンジ機構まわりにセンサーが付いており、ニュートラルに入っていなければ、エンジンが始動しない仕様になっています。ニュートラルポジションにギヤを入れてからエンジン始動します。

4つ目、バッテリーの電圧がある閾値より低いとエンジンが始動しな場合があります。特に最近のバイクは12Vバッテリー電圧によって多くの電装部品の機能作動を賄っていますので、電圧が不足している場合、エンジン始動しない場合があります。各バイクの閾値以上の電圧があるかどうか確認の上、バイクを動かしましょう。

既存のMFバッテリー汎用


リチウムイオンバッテリー汎用

燃料系のチェック

ガソリンの残量

  • 燃料コックの位置確認(ON/RES/OFF)
  • 古いガソリンが残っていないか

セルモーターは廻るのだけど、エンジンが始動しない場合、燃料の有無やその品質を疑います。

燃料コックの位置確認はとても重要です。通常はONの位置。中長期の停車時はOFFの位置。ON位置で走行中にガス欠になった場合の緊急対応としてRES(リザーブ)位置があります。

RESはガソリンタンクの底に500CC~1Lほどの残ったガソリンを使いきることが出来るコック位置です。クルマにはない装備でバイク特有です。ツーリング先でガス欠になったときに、RES位置にすることで、10キロ~20キロは走行すすことができてガソリンスタンド等にたどり着くことができるというエマージェンシー措置の一つです。ただし、最初からRESになっていて、本当にガス欠になるパターンが実はよくあります。

またRES位置にコックを行い、『チャポンチャポン』と燃料の音がしても、実際は燃料は供給されない場合もあります。『死残量』というやつです。タンクの形状や構造上どうしても排出できない燃料は一定量あります。

エンジン始動しない場合で、RES位置で最小限しか入ってない場合はぜひ1L以上は燃料を入れなおして始動TRYしましょう。

キャブ車の場合

  • チョークの使い方
  • キャブレターの詰まり・フロート室のガソリン有無

はい。ここからは私の真骨頂です。キャブ車の場合、チョークの使い方によっては、プラグの『かぶり』が発生します。またチョークと同時にアクセルを煽るような動作を行うと更にプラグの『かぶり』を呼びおこします。

冷間始動の基本はチョークを使い、アクセルは煽らない。これが基本です。

次にキャブの詰まり、フロート室のガソリンの有無について。キャブに燃料が来ていない場合が実はよくあります。これはフロート室下のドレンボルトを緩めると確認することができます。燃料が供給されている場合は、キャブのフロート室ドレンから燃料がどんどん排出されます。 そもそもキャブレターに燃料が供給されていな場合はドレンを緩めても、燃料が出てきません。この作業で燃料供給有無の確認を行います。

インジェクション車の場合

  • フューエルポンプの作動音を確認

FI車の場合、一般的には12Vバッテリー電圧によってフューエルポンプを駆動し燃料圧力をエンジン始動可能レベルまで上げます。『ウイーン』『キーン』という音がキーシリンダーをONに回した時点で鳴り続けます。

フューエルポンプが廻らない不具合はポンプそのものの不良やバッテリー電圧不足、その他電装系不具合が考えられます。ただし多くの場合フューエルポンプの作動不良はまれな事象ですので、バッテリー電圧か、その他電装系不具合を疑います。


点火系のチェック

  • プラグの状態(かぶり/汚れ/摩耗)
  • プラグコードの接続確認
  • 火花チェックのやり方

ここまでの確認事項に問題が無い場合、点火系、主にプラグを疑います。

2stの場合はプラグのかぶり。

4stの場合はプラグの消耗/劣化/摩耗。

いずれの場合でも、速攻交換です。

プラグコードの接続不良ですが、多くの場合、完全な断線は起きにくく超高電圧であるがゆえにプラグには何らかの火花が飛んでる場合が多いです。よって問題が『エンジン始動しない』ではなく、『ミスファイヤする』などに移行しますのでここでは割愛します。

火花チェックのやり方について。2人で行うと間違いなく確認が出来ます。一人はプラグキャップにプラグを差し込んでシリンダヘッド付近にプラグを接触させて保持する係!もう一人はセルスイッチを押す係!orキックペダルを踏む係!です。

プラグ電極に火花が飛んでるかどうかは目視するのは多少大変ですので、2人作業が間違いないです。

慣れた方ならば一人でも可能です。


吸気・圧縮系のチェック

  • エアフィルターの汚れ・詰まり
  • 2stならリードバルブの破損や劣化
  • 圧縮抜けの可能性

原因系の項目としては、最も遠い領域の項目です。上記3つはいずれの場合でもエンジン始動レベルは可能な場合が多いです。エンジン不調の領域の原因系です。

私の記事でも扱っていますので参考にしてください。


それでもかからない場合の対応

  • プラグを乾かして再始動
  • バッテリーを充電/ジャンプスタート
  • 押しがけの方法(キャブ車向け)
  • 修理工場/ショップに依頼する判断ライン

プラグを乾かすについて。プラグが1本しかない場合に行う作業です。火花が飛びにくく、初爆に繋がらないようなガソリンやOILで湿った状態の場合、一度取り外し、乾かす必要があります。エアブローがBESTです。

バッテリー充電やジャンプスタートについて。特にバッテリー電圧が低い場合はとても有効な作業です。特に最近のバイク!MX車のコンペモデルですら最近はキックレスの時代です。バッテリーの初期電圧が不足している場合は動かす事もできずただの鉄とアルミの塊です笑。

押し掛けの方法について。キャブ車全般に加え、FI車でももちろん押し掛けによる始動はTRYする価値はあります。方法ですが、キーはON。ギヤはニュートラル。1人or2人で30Mほど勢いよく押してから、1速or2速に入れてクラッチON。同時にリヤがロックしないようにまたがったりします。

私の世代はとにかく押し掛けしたものですが、最近はやったこと無い方が大半なのでしょうかね。1980年代のWGP500クラスは決勝スタートが押し掛けでした。

押し掛けによって初爆をさせる事が出来れば、多少バッテリーの電圧が低くても、そのまま空ぶかしすることで少なくとも維持することは可能です。問題の切り分けが進む究極の手法が押し掛けですかね。

ちなみに私の友人はFIAT500を一人で押し掛けして乗ってました。

最後に修理工場/ショップに依頼する判断ラインについて。FI車ならば、バッテリーを充電したのにそもそもセルが廻らないとき。キャブ車ならば、火花が飛んでないとき。これら2つが初心者の皆様がプロに任せた方がいいかの線引きになるかと思います。

FI車でバッテリー満充電でセルが廻らない場合、おそらくヒューズ等最低限確認されたと思いますので、これ以降はヘビーな不具合確認が必要になる場合が多いです。保証の範囲かもしれませんので一旦プロにお任せすることを推奨します。

キャブ車でプラグに火花が飛んでいない場合、多くの部品に経年劣化による不具合を疑う作業が始まります。ACGかレクチファイヤ周りを疑う作業となると思います。私、こういうの得意なのですが迷ったらプロに任せるのがバイクが嫌いにならない為のコツです。


まとめ

バイクがかからないときは焦らず「電気 → 燃料 → 吸気・圧縮」の順で確認するのが基本です。

良い火花

良い燃料

良い圧縮

ちょっとした不注意や消耗品の劣化が原因のことも多いので、日常点検と定期メンテナンスで未然にトラブルを防ぎましょう。

ICE万歳!

それではまたね。

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