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2速のギヤ抜けって修理はどうする?

MAINTENANCE

ギヤ抜けが頻発するようになった!!!どうしたらいいの?

今日はバイクのギヤ抜けの話しです。シフトペダルを操作して、2速や3速にシフトアップしたにも関わらずエンジンが空回りしてバイクが前に走らない時ってありますよね。『ガラガラパーン』って音とともに衝撃があったことは無いですか?

例えばコーナー立ち上がりの1速→2速の低速域でのシフトミスはレースでは一瞬でライバルに抜かれてしまう痛手となります。

これって頻繁に起きるようになった場合、その修理ってどうしたらいいのか気になりますよね。

結論です。ギヤの横に付いてるダボが舐めてますので気になるなら交換をお勧めします。

ギヤ抜けってほぼほぼ、ダボ舐めという状態になってます。写真の青い部分のカドが丸まってしまってる状態です。

基本的には塑性変形したり摩耗して丸くなっているだけですが、微細には先端が一部欠けて脱落しています。

OIL交換して✨してるのはこれだったりします。

こっちはオス側のダボ舐めしたギヤの写真です。この凸を一般的にダボって呼びます。クルマではドグと呼びます。

ギヤ抜け不具合って上記のようなダボ舐めが原因ですので、どうしても気になる場合は交換しかないです。

タイヤの摩耗やハンドルグリップの摩耗、シートの摩耗と同じようなものです。ミッションで最も局所的に仕事してる部分なので、時期が来たら交換が必要な部品なのです。

ギヤ抜けを繰り返して衝撃荷重を付近に与え続けると、まれにですがシフトフォークが曲がるなど2次被害も発生します。

ギヤ1つでおよそ5000円前後です。上記写真のようにだいたい雌ダボが付いてるギヤと雄ダボが付いているギヤ2つをセットで交換します。これにENG全バラが必要になりますので、GSKET等の消耗品と工賃が必要です。MX車の単気筒でざっくり一声一式5万くらいでしょうか。せっかくだから、BRGやらピストンリングやら交換すると8万くらいすぐ行きそうです。自分でやっちゃうと多少安くて楽しいですぜ!

ギヤ抜けの原因。ダボ接触面のエッジが丸くなっているからズルっと抜ける

新品の写真を添付します。

ダボの先端がピンピンに尖っていてダボの嚙み合わせの接触面精度が良い状態になっています。

現物でその機構を説明します

写真で説明します。これはCRF450のメイン軸とシフトフォークです。右から1,5,3,4,2速ギヤが並んでます。

正面からの写真です。シフトフォークによって左右に作動するギヤの左右にダボが見えます。メイン軸では5速と4速のシフトチェンジをコントロールしています。この状態では左右どちらもダボはかみ合っていません。いわゆるニュートラル位置です。

左側にギヤが移動している状態です。ダボがかみ合って、5速ギヤの駆動力が伝わる状態になっています。

ギヤが右に移動しています。右側のギヤとダボが嚙んでいる状態です。4速ギヤの駆動力が伝わる状態になっています。

シフトフォークのストロークは一般的に片側3㎜前後です。

ダボのかみ合い代は2.5㎜前後です。

ダボのかみ合い量が2.5㎜なのですが、写真のようにダボ接触面の先端が1㎜ほど丸く舐めている状態だと接触面が減ってしまいます。ダボの接触面が少ないと、不安定で滑って抜けやすくなります。滑って抜けるとまた先端が丸くなります。負のスパイラルです。

更に深堀り ダボが舐める原因

ミッションのダボが舐める原因は大きく3つあります。

チェンジペダルを最後までストロークさせていない。よってダボが途中までしか噛んでいない状態で駆動力をかけてしまい、中途半端なかみ合いによって、ダボ抜けが起きる。その際、ダボ先端が丸く変形する。(欠ける)

⇒これはチェンジペダルまわりのガタ、チェンジ操作をつかさどるブーツとの相性、アクセルONが早すぎることによる中途半端なダボ噛みです。

チェンジペダルのガタはチェンジスピンドルのスプライン勘合部のガタと先端のペダル部分の可動部カシメガタの2種類があります。見落としがちなのは先端のペダル部分の可動部カシメのガタです。この可動部、転倒したときにペダル部分が90度折れ曲がって逃げてくれることで、ペダル本体やチェンジスピンドルの曲がりを回避してくれる構造になっています。ただしその可動部は摩耗してガタが発生します。ガタによってペダル操作のストロークをかなりロスします。

補足しますが、ダボが中途半端に噛んだ状態でも、ダボの接触面の面圧が高ければ接触は維持されます。ある程度アクセル開けて加速してる間はダボ噛みが中途半端でも抜けにくいです。そして駆動力が若干抜けた拍子にチェンジまわりのバネのチカラでフルストローク位置まで送り込まれる可能性はあるので、中途半端なダボ噛みは解消します。しかし、中途半端なダボ噛み状態の場合で、過度な駆動力がかかり続けると接触面圧が高いのでダボが欠けたりして、結果的にギヤ抜けに至ります。

駆動力が切れていない状態で強引にギヤチェンジを行おうとして、ダボ先端だけのダボ噛み⇒ダボ抜けを繰り返し、ダボ先端が丸く変形する、(欠ける)

⇒多少クラッチの切れ不良があっても、噛み合ったダボは抜くことはできます。しかし新たに噛み合わせるには難しいのです。自動車のMT車はシンクロメッシュという機構が付いています。クラッチとは別に1速⇔2速などのシフトチェンジ時の各ギヤの回転差を補い同調させ、ドグ(バイクでのダボ)が容易に飛び込み噛み込みしやすくするための機構が付いています。しかし、バイクはこのシンクロメッシュのような機構は付いていませんので、クラッチが切れていない状態の回転位相差がある状態ではダボは飛び込みにくいです。強引にダボを噛ませようとすると先端が摩耗していきます。ダボのエッジが丸くなって行きます。ダボ舐めの始まりです。

③OIL潤滑状態が良くない。 上記①②の事象を引き起こす可能性を高めるのにミッション/エンジンOIL潤滑不良があります。クラッチの切れ不良やチェンジ操作の送り不足など、機械的な部品の作動性を大きく左右します。シフトアーム周り、シフトドラム周り、シフトドラムストッパーアームまわり、シフトフォークまわり、ミッションスプライン周りなど、シフト周りは からくり構造の摺動部ばかりです。劣化したオイルは特に高温時の潤滑性が劣りますので、実は真っ先にユーザーが気が付くのはシフトチェンジの操作性の差なのです。劣化したOILはシフトミスを誘発し、ダボ舐めの最大の原因です。

ダボが舐めないようにするにはどうする? 操作系 再防

①転倒等による曲がりやガタの無いクラッチレバーで、最大限の引き代を確保してクラッチを切り

 駆動力を一旦確実に切る。

 最近のアフターマーケットのクラッチレバーASSYは、転倒してもレバーが逆反りする構造になっており、

 ハンドルへのバンド締結部も樹脂バンドをかえしたフローテイング保持構造なので、転倒しても曲がらず、

 とても節度感のあるクラッチ操作が維持できます。

②ガタの無いチェンジペダルで確実にフルストロークシフトする。

 純正部品でも良いのですが、気にしたいのは先端のペダル可動部のガタです。基本的に踏んで操作する部分

 ですので、大荷重がかかります。可動部まわりは摩耗してガタが生じやすいです。ガタが出たら交換をお勧め

 します。

③ダボが正しく噛みあうまで駆動力をかけないようにしたいので、アクセルを開けるタイミングを少し遅らせる。

 これはミッションをいたわり、丁寧に確実にシフトUPしていくためには必要な操作です。

これを読んでくれている人の中で、ロードバイクの方がいるのではないかと思います。

チェンジペダルがチェンジスピンドルにダイレクトにスプライン保持されているタイプではなく、リンク機構

を伴って操作するタイプは、そのリンク機構のフリクションや、ガタによって本来のチェンジストロークが

発生していない場合があります。リンク周りは給油し、BRGやピロボールにガタがある場合は交換することで、

スムーズでロスの無いチェンジストロークが確保されます。

給油はグリスタイプよりもフリクションの少ない潤滑油タイプが良いと思います。

そして最も効果がある対策 イケてるOILに定期的に交換する 重要管理項目

OILってたくさんのメーカーや種類があって悩んでいるならぜひ一度試してみてください。

ギヤの入りがいいオイル。

HONDAウルトラG4。お勧めします。

エンジン性能を最大限引き出すスーパースポーツ向け低フリクションオイル ウルトラG4

引用元:本田技研工業

これは、私の友人やMX関係者で昔OIL比べ試乗会を行ったことがあるのですが、多くのメンバーが揃って良いコメントを出したのがG4でした。

CRF450に入れた場合、スタート直後から、20分ほどMXコース(白河)をレーススピードで走行して、最初から最後までそのシフトフィーリングが変わらず、スパッと節度感良くシフトが決まったのがG4でした。

実は一番安いG1もシフトフィーリングは良かったのですが、高温時の馬力感が劣るのと、カタログSPEC的に比較するとG1はG4に対して基本的に劣りますので、高負荷をかけるマシンにはやはりG4をおすすめします。

このようなメーカー純正OILは湿式クラッチの伝達容量や接続フィーリングが変わる事もなく相性もOEMで確認が取れていますので、4stMX車のENG/MISSオイルとして、また2stMISSオイルとして間違いなしです。CBR1000RRもG3かG4が推奨ですので、MXユーザー以外の皆さんにも一度お勧めしたいOILです。

4stバイクのエンジンとミッションは、多くの場合お部屋が別れておらず一つのオイルで、ピストンやクランクメタルなどエンジン内部とミッションやクラッチを潤滑しています。仕事は広範囲で負荷が高いです。高温にもなりやすく劣化が早くなる条件が整っています。信頼出来るオイルを使用し、こまめに交換してあげたいものです。

シフトテクニックと仕様について

上手な人はダボ舐めしにくいです。アクセル操作のみで一瞬駆動力抜き、そのタイミングでギヤを抜き、次のギヤに入れます。クラッチを切らなくともギヤは抜けるし、入れる事が出来ます。

このアクセルワークとシフト操作がシンクロすると”パン!”と音がしてきれいにダボが噛んだ音がします。これが出来るようになるとおそらく一番ダボ舐めはしにくくなると思います。

最近量産車にも付いているセミオートシフター(点火間引き)はアクセルワークで駆動力を一瞬切るのではなく、

一瞬失火させて駆動力を瞬間的に切ってダボに遊びをつくってチェンジ操作をしています。

なんとなくお分かりになってきたかもしれませんが、バイクのマニュアルチェンジのミッションダボは4つや5つのダボが噛みあっていますが、ガタが大きい(バックラッシのような回転方向のガタの事です)ので、アクセル操作で駆動力を正/負にコントロールすれば、本来容易にそしてほぼ弊害無く、ダボを抜いたり入れたりできるのです。

下の写真説明。バイクのコントロールに弊害無い範囲で青い矢印の間のガタを大きく取っているのです。これによってギヤチェンジ(ダボの出入り)が容易に行うことができるようになっています。

この遊び角度が広いものをダボの噛み合いチャンスが多いものと呼んだりします。バイクの場合1速⇔2速は広いです。1速⇔2速間のレシオが離れている場合が多く、クラッチを切るだけでは回転位相差が揃いにくいので、ドグの飛び込みチャンスを増やし容易にギヤチェンジが出来るようにする為です。

先日のSF最終戦で岩佐選手がスタートでギヤが入りませんでしたね。機械的なものか制御的なものか原因はあると思いますが、ギヤのシフトは永遠の課題です。

まとめ

今回はミッションのギヤ抜けの対応と予防策をお話ししました。

・ギヤ抜けはダボが舐めている。

・タイヤが減るのと同じように厳しい仕事をしている部品の一つなので、どうしても気になるなら

交換してあげる事が必要。

・ただし、ダボ舐めしないような乗り方はある。

・ダボ舐めを悪化させないようにケアしてあげる事もできる。

構造がわかるとバイクに乗るのがまた少し楽しくなると思います。

ま、ある意味ギヤ抜けもバイクの味わいの一つという事で。。。

それではまたね。

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