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2stエンジンで純正ピストン以外を使用するときの注意点

MAINTENANCE
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アフターマーケットのピストンを使いたい

今日は2stピストンについて。

だいぶ乗ったからピストン交換とかしてみたいんだけど、純正ピストンが欠品中。

アフターマーケットのピストンならすぐ手に入るけどこれ大丈夫?てっときあります。

また、多少馬力が出る(出てる感じがある)と知人に勧められるのだけど、

2stってそもそも焼き付きリスクがあるエンジンだと思うんだけど大丈夫?

そんなとき私が気を付けている注意点を今日はご紹介します。

結論!シリンダーとのクリアランス設定と慣らしに注意すればOK!

年式と機種の適合表がマッチしている場合、組付けにありたり以下ご参照です。

①今一度、ピストンの寸法を確認してください。Aピストン、Bピストンがあったら要注意!

これは、ピストンの直径寸法違いです。シリンダーにも”A”シリンダーや”B”シリンダーがあります。

”A”シリンダーには”A”ピストンを、”B”シリンダーには”B”ピストンを組付けます。

ピストンとシリンダーのボア(内径)には守りたいクリアランスの設定値があります。

クリアランスが狭いと焼き付きやすいです。

クリアランスが広いと馬力が出にくいです。

アフターマーケットのピストンもこの寸法違いが設定販売されています。確認して購入し正しく組付けます。

②ピストン側面のシリンダーとの当たりが局所的に強くなる場合がありますので、丁寧な慣らし運転と、

必要に応じたピストン側面の手修正を行います。

ピストンは基本仕様として真円ではありません。高さ方向にも寸法差を付けています。

純正ピストンはボアとの当たりが強くなる部分をピンポイントで数ミクロン~数十ミクロンの

逃げを設けていますが、アフターマーケットのピストンはOEMほどの丁寧な逃げ形状が

ほどこされていな場合があります。

丁寧な慣らし運転や、慣らし後の手修正を入れる事で、ネガは排除できます。

これらを頭に入れて、組付けましょう!

シリンダーとピストンのクリアランス設定について

クリアランスは50μ~150μに設定されている場合が多いです。

理由は大きく2つ。

①熱間時のピストンやシリンダーの膨張を加味している。

②ガソリン、2stオイルによる潤滑のためにクリアランスを確保している。

クリアランスは狭い方が気密性が高まるので、馬力は出やすいですが潤滑が行き届きにくいので、焼き付きのリスクは高まります。

クリアランスが狭い方がピストンの挙動も安定しますので、通称”ピストン打音”という騒音も低減できますがやはりクリアランスが狭いとピストンの焼き付きのリスクは高まります。

2stは焼き付きリスクと性能が隣り合わせです。

よって、OEMが開発時に設定したクリアランスを守った方が、安定的に性能が確保されます。

ピストンの慣らしについて

慣らしというとイマドキ必要なのかという感覚になりやすいですが、

今回のお題である、純正ではないピストンを組み込むときは必要です。

2サイクルの最大の特徴はシリンダーに掃気ポートと排気ポートという穴が空いています。

ピストンの摺動面の途中に穴が空いているのです。

簡単にいうと、道路に穴が空いているようなものです。タイヤの挙動が乱れるように、

ピストンも挙動が乱れます。乱れる事によってイレギュラーな部位に負荷がかかります。

この挙動は4サイクルピストンにはない、2サイクル特有の乱れです。

そしてもう一つ、

掃気ポートからは冷えた混合気が流れてきますので、シリンダーに温度差が生まれ局所的な

変形が発生します。

また排気ポートからは高温の排気ガスが流れ出ますので、局所的にシリンダーボア面に

温度差が生まれ、変形が発生します。

これら2つの要因によって、ピストンのボアとの当たりはとても歪なものになりやすいのです。

よって、OEM製のピストンには絶妙な逃げ形状が入っていますが、これがアフターマーケット製には

施されていない場合がおおいので、慣らしと手修正が必要となります。

ピストンはアルミで出来ていますので、シリンダーボア面(メッキや鉄スリーブ)と接触すると

ピストンの方が削れて行きます。ゆっくり慣らし運転を行えばいい感じで摩耗して逃げ形状が

施されるのです。なじんだ自分の靴と同じです。

丁寧な慣らしを行なってもまだ、当たりが強い部分は砥石や#400クラスのペーパーで削ります。

数ミクロンの世界です。HRCのマニュアルにはその方法が記載されていますのでそちらご参照です。

厳密に言うとOEMのピストンであれ個体差はありますので、慣らし運転や手修正は行います。

よってアフターマーケット製のピストンだと言ってあまり過剰に焼き付きリスクを懸念する必要は

ありません。

ピストンに対して穏やかに熱をかけ、負荷を与え、初期なじみをさせる事が出来ればOKです。

ちょっとマニアックな領域の話しになってしまいましたかね。

そもそもピストンっていつまで使えるの

マニュアルに記載ある距離管理値や時間管理値を守れば良いですが、

知識として知っておくと良いことを記載します。

①ピストン側面がテカテカになってる面が広い場合は焼き付きリスクが高まるので、

 高負荷走行をするなら交換したほうがいいです。

 ただしピストン側面がテカテカになってるということは、慣らし運転に成功していますので、

 いままで通りのレベルの走行をするならば、そのままでも問題は生じにくいです。

②ピストンのリングの動きが悪くなっていたら交換したほうがいいです。

 シリンダーのポートとポートの間の通称”柱”の部分をピストンが摺動するときに

 その部位は当たりが強くなりますが、その影響がピストンリングの自由な動きを

 疎外するような局所的な塑性変形を与えることがあります。

 ピストンリングそのものに外傷を与えたり、ピストンリング溝付近に外傷を与えたりします。

 その結果、ピストンリングの自由な動き(直径が大きくなったり小さくなったりする動き)

 が無くなると、その固着したピストンリングによってシリンダーボア面に傷を入れてしまいます。

 よってリングが動かなくなっていたら交換します。

③馬力が減ってきた気がすると本人が思ったときは交換ドキです。

 2stのピストンは4stピストンよりも上記2つの要因によって外乱が多く、破損には至りませんが

 変形や摩耗が多い部品です。OEMは当然最終/最悪事象である破損には至らないように、

 基本形状や材質選定に配慮し設計生産しています。

 ただし、熱的負荷による変形やポートによる局所的な摩耗が4stピストンより多いのです。

 変形と摩耗によって、ボアとピストンの間にクリアランスが生まれ

 ピストンそのもそのものによる気密性が低下しやすいのです。

 ピストン打音という微妙な音も発生し始めます。

 よって馬力感不足をライダーが感じたならば間違いない交換時期となります。

まとめ

今日は純正ピストン以外を使用するときの注意点と交換時期の見極めポイントを上げてみました。

アフターマーケットのピストンはOEM純正ピストンには無い性能を有する場合があります。

また、リペアパーツとしてもその入手性が重宝されることがありますが、その特徴を理解して

使用することで、2st特有の焼き付きネガを低減することができます。

2stバイクに末永くのりましょう!!

またね。

 

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