チャンバーセッテイングってやっぱ難しいです!特に最初。
2サイクル量産車、OEMのノーマル車両についているマフラーを市販や手作りのチャンバーを初組みした際に最初にキャブセッテイングどうしたら良いか悩みますよね。自分もいつも悩みます。多少経験がある方は1度や2度、焼きついたり、軽く抱き着きを起こしてしまって、がっくりって事あると思います。
写真はCR500のピストンです。これは単純なセッテイングミスでしたが逝っちゃってる写真添付しますね。EXH側のピストンリング付近がリングスティックってか、焼き付いてます。あーあ。希少な500の新品ピストンが。。。
結論:#30番メインを上げる。ちょっと試運転したらヘッドを開けて目視する!
やっぱね、これに尽きます。ざっくりノーマルマフラーからチャンバーに変えたなら自分はメインを#30番上げます。KEIHINキャブの場合です。エアクリーナーは無改造の場合です! 濃過ぎてもいいんです。シリンダーがかじるよりましです。スローや針はノーマル付近でも大丈夫です。それでないと、そもそも始動しない場合が多いので。そして一度試運転できたなら、ぜひばらしましょう!どんな焼け方しているか?シリンダーとピストンの当たり、ピストンリングのかじり、ランド付近のかじり、ランド落ちが無いか、ぜひ確認しましょう!
黒く光ったOILがシリンダー内やヘッド頭部に付着してる状態がBESTです。いきなり良い焼け方していたら、ヤバいです。その場合すぐさま#20番はメインを上げましょう。そして今一度始動して10分ほど試運転しましょう。合計メインジェットは#40から#60は一番最初は上げていいんです。
以降にざっくりゼロベースのキャブセッテイング方法を記載します。
DIYの我々は燃焼状態を数値化できないので、焼け具合は感覚や匂い、そして目視しかありません。失敗すると焼き付いてその代償は大変大きなものになります。最悪クランク交換です。よってできるだけ安全に濃い状態から少しづつ絞っていきます。面倒ですが、これがある意味2STチャンバー車の最も一番楽しいところです。4STはここまで神経質ではありませんし、マフラー替えても、メインジェット絞っても、劇的に馬力は上がりません。チャンバー車の一番楽しい世界をぜひエンジョイしてください。少しづつ絞って出力の出方が変わるざまを楽しんでください。そしてほどほどにしてばらして確認する作業を繰り返してください。
今回の車両と前提条件
今回題材にするのは原付のチャンバー初組&大径キャブ初組車両の初めてのキャブセッテイングです。
排気量:49CC
圧縮比:ノーマルスタート
プラグ:BPR7HS(初期セッティング安いプラグ)
キャブ:NSR80
インマニ:自作総削り
リードバルブBODY:自作総削り4葉
エアクリーナーBOX:自作
チャンバー:KX65の現合
2STオイル:分離給油 HONDA GR2
作業開始:メインジェットは#110スタート(超安全側に振る!)
49CCの2サイクルスクーターのノーマルキャブのメインジェット番手は#68前後だと思います。
まずは、そこから焼き付かない超安全側にメインジェットを仮決定します。
NSR50のノーマルメインジェットは#106なので、今回はエアクリーナーBOX自作に伴って吸入空気量も多い
と思いスタートは#110を選択しました。
スロージェットは最初は始動性を重視して、番手を調整します。
スローは最悪薄くても焼き付きには直接繋がりにくいので、まずは始動するスロージェット番手を選びます。
エアスクリューは1と1/2回転戻しです。
初代タクトの吸気、排気完全自作仕様ですので、参考にするものはありません。
焼き付くとシリンダーがもったいないので、とにかく安全側の、濃い側から、そしてNSR80のマニュアルチョークが
うまく機能するように作業開始します。
始動と無負荷運転
始動したら、NRS80のマニュアルチョークを戻し、両足スタンドを立て、無負荷で低回転で回します。
アクセルを急激に開けたりせず、パーシャルで6000rpmくらいまでで、ENGを温めます。
もしアイドリングしそうならば、アイドルスクリューを調整します。
まだ走行はしません。
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再セッテイング
始動しなかったり、かぶったりした場合、一旦ガレージに戻り、プラグを確認します。
できればプラグを交換し、火花は飛んでいる事を確認したなら、スロージェットを若干薄いものに交換して、
・チョークを引いてキック、
・チョークを引かないでキック
・チョークを引かないで、アクセル全開でキック
を繰り返しながら、まずは始動を目指します。
無負荷運転の注意点
始動して、無負荷である程度ENGが回る事を確認します。
アクセルの急開は避けてください。
アクセル急開すると、急にガソリンが流れたり、空気が流れたりします。
セッテイングが出ていないときにこれを行うと、プラグがかぶったり、シリンダーが焼き付いたりします。
ゆっくりアクセルを開け増しして6000rpmくらいまでで、何度か繰り返して、調子を確認します。
全開の高回転は、メインジェットのセッテイングが出ていない可能性がありますので、避けてください。
まずはアクセル1/2開度で6000rpmくらいまで。
10分ほど、濃くて止まらないレベルに安定して無負荷運転ができるセッテイングを捜します。
ばらして確認します
プラグの焼け具合、シリンダヘッド燃焼室の焼け具合、ピストンとシリンダーの当たり具合を
確認する為、一旦腰上をバラします。
大変ですよね!でも燃調セッテイングのデータベースが無い場合は目視確認が最もBESTなので、ばらします。
プラグが白く乾いた焼けた状態であったり、燃焼室がすでに茶色く焼けていたりしませんか?
ガソリン濃いめからスタートして無負荷ならば、まずこのような事はないと思います。
シリンダーのボア内部、ポートの柱やピストンの当たりの強いところはないですか?
ガソリンが濃いのに当たりが強いのは単純に出っ張っているためなので、#400や#800のサンドペーパーで
擦って当たりを緩和します。当たりが強いところは、今後キャブセッテイングを詰めていく際、
ガソリンを薄くしていったときに最初に焼き付く部分になります💦。
油膜が切れやすいところだと言う事です。テカテカピカピカになってる場所はペーパーで横方向に擦っておきます。
今回は濃い側からスタートして中回転域の無負荷運転までですので、だいたいは黒いOILでピストンや
掃気ポート内、クランク、コンロッドは覆われていると思います。それでOKです。
シリンダーまわりを一通り確認したら再組みします。スクーターは簡素なので、30分コースです。
ガソリンホースの抜き差しが面倒になったらこれお勧めです。↓
再始動して高回転側まで回してみる
再組立て後、再始動し今度は高回転まで回します。先ほどはアクセル1/2回転ほどまででしたが、今回は限りなく全開
にしてみます。ゆっくりアクセルをスナップしてください。
ただし急開するとセッテイングが出ていない可能性ありますので、徐々に高回転にします。
高回転キープは絶対しません。アクセルはゆっくりスナップします。
また、高回転からの全閉も要注意です。アクセル全閉時は基本的にガソリンが流れません。もちろん混合された2stオイルも流れません。潤滑とガソリンによる冷却がされません。これらのことから高回転からの全閉はたとえ2秒から3秒でも大変厳しいモードになります。セッティングが出ていないときは、最大限避けましょう。
2stチャンバー付きだと、7000rpm前後から、明らかに回転上昇が速いAREAがあります。
ここが濃いと気持ちよく回りません。でも最初は回らないところのキャブオーダーを確認したいので、
それでOKです。
ここで一旦プラグの焼け具合を確認します。
まだプラグは黒く濡れているくらいがBESTです。白かったらメインジェットを濃くします。
少し走ってみる
やっと走ります。スピードは40㎞くらいまで。
おそらくプーリーのセッテイングやその他駆動系セッテイングも取れていないと思いますので、
とにかく、40㎞ぐらいのスピードでコンスタントに動かして負荷をかけてみます。
高回転にならないように。
また腰上をばらして確認します。
今日はここまで。
吸気/排気のフル改造車のシェイクダウンの手順をご紹介しました。
基本的にこれから先に行ったハードな改造もこの繰り返しでセッテイングを詰めていきます。
まとめ
いかがだったでしようか?キャブセッテイングを濃い方から詰めていくとDR(ドライババリティ)と出力が向上していきます。ENG仕様を何も変更しなくともキャブセッテイングだけでも出力は向上していくので、錯覚してしまいがちなのですが、限界はあります。ぜひそのギリギリを見極めてみてください。きっととても良いチャンバーの音になると思います。パイーンと回る2stってまじ気持ちいいですよね。それではまたね。
コメント
2スト空冷で単純な構造だとトライ&セッティングもしやすいよねー
今の原付、4スト水冷だからバラすの面倒だし…構造単純でパワーの出る2スト復活しないかなぁ〜
CB子さん そうですね。遊ぶには良い題材です。燃料や2stオイルが環境にやさしいモノが開発されれば、また復活しますでしょうか。