PR

意外に簡単!1997CR250エンジンオーバーホール

MAINTENANCE

今日のお題 1997CR250エンジン全バラ

今回はアルミフレーム初代の1997CR250を題材にしたENG全バラ工程主要部を写真を使ってご説明します。

必要な専用&特殊工具の確認

治具&工具確認です。

①左からACGプーラー。②クランク引っ張りジグ。③クランク引っ張り時に必要なスタッドBOLT。④クランク押しジグ。⑤14㎜ディープソケット。⑥32㎜ソケット。

クランクシャフトを支えているBRGは外輪はクランクケースに圧入されていますが、内輪もクランクシャフト軸に圧入されています。よってケース組みばらしを行う場合は②③④が必要です。

今回のばらし作業では①④⑤⑥が必要です。

②③④はHONDA部番の専用治具です。①はデイトナ製だと思います。

14㎜デイープはシフトドラムセンター締め付けボルトを緩めるのに必要です。

32㎜ソケットはクラッチアウターをインパクトで緩めるときに必要です。

その他は、汎用工具で大丈夫です。

85.125.250.500共通です。

エンジン降ろし作業場所

私は天気の良い日は外で作業します。

ENG降ろすのは作業空間と明るさを必要とするので、やはり外が一番です。テーブルがあると、取り外した部品を見える状態で一時保管できるので外観損傷状態等確認のためにも良いです。落とした部品がすぐ見つけられるように床や芝生はメンテしてから開始しましょう。

ミッションOIL抜き

ミッションOILを抜きます。ENG単体になってからでも良いのですが、OILを抜くには完成車状態が一番楽ちんです。床や芝生にOILを落とさぬよう!

ラジエター液抜き

ラジエター液を抜きます。この年式のラジエターは畳みたいな簡素な1枚仕様なので、作業性は良いです。ハンドルを持って車両を右に傾けたり、左に傾けたりしてラジエター液を出来るだけ全部この時点で丁寧に抜きます。水ホースを外し始めたときに出てくると掃除が案外面倒です。ばらしの最後まで丁寧に作業する為にまずラジエーター液は確実に抜きましょう。

ドライブスプロケット取り外し

ドライブスプロケットはチェーンが付いてるときに緩めます。チエーンが付いているときなら、リヤブレーキを踏んでおけばスプロケットを保持できますので、スプロケットのセンターを締め付けている締結ボルトをインパクトなしで緩める事が出来ます。

また、スプロケットをこの段階でとりはずせば、スプロケット裏の泥等を清掃する事ができます。これによってENG単体になった段階で作業台に土や泥を持ち込む事が最小限に出来ます

この後ニュートラルにしてから、チェンジペダルも取り外します

クラッチワイヤー取り外し

クラッチケーブルはACG室にありますのでLカバーの蓋は開けてケーブルを取り外します。ACGフライホイールや、ステーターは後で取り外しますのでこのままで良いです。エンジンをまずは降ろす事に集中しましょう。ステーターから出ているハーネスはカプラー接続部から外しておきます。

スパークプラグ取り外し

自分はプラグはENGをフレームから降ろす時はハズシます。ENG降ろす際に邪魔になる部品の代表です。プラグを外したらガムテープ等で確実にシールしましょう。

キャブを取り外したら、キャブインシュ(インマニ)にも蓋をします。キャブインシュも取り外した方がENGは降ろしやすいですが、開口部が大きくてガムテープ等でのシール性に不安があるので、私は外しません。

全バラしますが、作業の最中にENG内部にゴミを入れることが無いようにしましょう。

ENGはフレーム左側にケース後方から抜く 知恵の輪になってもいつか抜ける!

上の写真はエンジンを降ろした直後の状態です。少し見にくいでが、取り外したENGが車両の左側に置いてあります。

写真のように自分は足回りは作業安定性のため取り付けた状態でENGをおろします。写真のようにリヤサスアッパー締結のみ取り外します。アッパー締結だけ取り外すことで、スイングアームがいい感じで後ろにずれますので、ENG降ろす際に自由度が高まりなおかつ、フレームが倒れたりせず安全にENGを降ろす事ができます。これは80年代CRスチールフレーム〜現行CRFアルミフレームのENG降ろし作業で私の経験上共通です。

ENG降ろす際は私はフレームの左側にクランクケース後方のスイングアームピボット付近から抜きますたまに知恵の輪になりますが、必ず抜けます

ENG降ろす寸前の確認チエックリスト

エンジン単体は22キロくらいありますので、フレームから降ろす際に手こずって腰痛にならないように全てのものを取り外したか、チエックに使用してください。

 ①プラグ外す。

 ②クラッチケーブル外す。

 ③ACGステーターカプラー外す。

 ④リヤブレーキペダル外す。

 ⑤キックペダル外す。

 ⑥チェンジペダル外す

 ⑦ラジエターのフレームへの締結BOLTは外して全体的にずらす(外さなくてもOK)

 ⑧エンジン締結点の 下、前、上、スイングアームピボット、全てねボルトを取り外す。

⑨リヤブレーキマスターシリンダー締結BOLTも外すと更に良い。

エンジン下ろしたら、外したパーツは仮組して保存します。

慣れるとここまで40分です。一回ここでお茶します。

エンジン単体を作業台で外傷確認

単体になったら、全体を眺めます。今回メンテしたい所や破損しているところ以外に何か問題はないか確認します。このエンジンは外観に大きなな損傷はないようです。錆びはありますが改造等なく量産組み立て後そのままの様子です。

バラしたい所に集中して先にばらす

今回はクラッチアウターが割れてアルミ破片がミッション室に回ってしまってる案件なので、どんどん最短で進め被害状況確認をします。

Rカバーを開けて、クラッチアウターを32㎜ソケットとインパクトで緩めて取り外します。私はアウターを把持する治具は使用しません。ウエスと軍手で押さえてインパクトで緩めます。

インパクトでその隣のプライマリードライブ締結BOLTも緩めて取り外します。コンロッドをウエスと軍手で押さえて、緩めます。チェンジ機構まわりもこの際にばらします。

シフトドラムセンターのボルトを緩めるために、冒頭で説明した、14mmディープソケットを使用します。

ここからが、本番です!

先に説明した専用ジグの④クランク押しジグを使って、クランク軸を中心として、ケースを左右に割ります。クランクシャフトを支持しているBRGはケースにも、シャフトにも圧入されていますので、④の治具のチカラを借りなくてはなりませんケースを割るにはBRGの引き抜き荷重のほか、ガスケット張り付きと、位置決めノック固着によって引き剝がすのに荷重が必要です。よってケース後方部位あたりは、必要に応じてプラスチックハンマーで叩いて引き剥がします。このあたりが開かないのは、ガスケットが張り付いているか、ノックが固着しているかです。合わせ面にマイナスドライバー突っ込んでコジると、合わせ面に傷がついてシール出来なくなるので、やらないようにしましょう。

注意点

写真のように治具の真ん中の黒いボルトをグイグイ締め付けて行くときに、左右ケースの合わせ面が均等に開いて行くように、プラスチックハンマーで周囲全体を叩いてハズレやすくします。斜めになったら一度ボルトを緩めて、プラスチックハンマーて四方を叩いて開きを均等にします。何度か繰り返して、左右ケースを割ります。

ばらし完了後ケース内残留部品確認

暗くなってしまいました。夕ご飯を食べてきました。

全部バレたらまた眺めます。

ハズシ忘れた部品や変な場所に落下しているワッシャーなどマニュアルやパーツリスト通りの部品がすべて取り出せたか、よーく確認します。

ミッションのメイン軸、カウンター軸のそれぞれ端についてるワッシャーとか落ちてませんか? 落ちていた部品はどこに取りついていたか至急確認します。

間違い探しクイズ~!!!この中に関係ない部品があります。ただし私のこのHP的には重要なアイテムです。10秒で探してください!

細かいところを観察する

エンジン全バラってたまにしか行わないので、細部までよく観察しましょう。今回の場合、クラッチアウターが割れて、アルミの破片がミッション室に回ってしまってます。1次破損部品と2次的被害を受けたと思われる部品、部位の確認を行います。

4stだとアルミの破片がオイルポンプやヘッドまで回ってしまうので被害が大きくなりますが、2stだと、ミッション室のみです。

今回見るべきは、BRG、ミッション歯面、ミッションの軸受けブッシュ、クラッチのニードル軸受け、クラッチディスク、アルミプレートです。

交換する部品を発注する

この写真は全バラした次の日です。発注する部品を落ち着いて決定します。

今回の自分の最終判断はBRGは全部交換。ミッションギヤは洗浄してそのまま使う。クラッチはアウターCOMPを新品として、その他は洗浄し使う。腰上はピストンピン、ニードル、クリップ、リングを交換する。その他全バラに伴い、GSKT,OILシール、Oリング、ノックピンは普通に交換する。その他リードバルブ板、水ポンプシール交換でした。

だいぶ絞りましたが、これでも5万弱行きます。たか~。

ガスケット剥がし、各部品洗浄

部品が納入されるまでの間にガスケットを剥がし、各部品洗浄します。写真はもう組み立てる準備段階の写真ですが、BRG等発注し、再圧入直後の状態です。新しいクラッチアウターも買ってきました。

掃気、排気通路のバリ&段差修正

クランクケース、シリンダー、インマニ、リードバルブボディ、EXHジョイント、それぞれの結合部、合わせ面での通路スムーズ化!

実は一番楽しいところです

画像やサンプルがないので随時更新します。量産品のアルミダイキャスト製品は型割部位に必ずバリが発生します。掃気ポートの案外重要なところに型割は数か所あります。もちろん量産品として保証すべき性能のために除去はしていますが、当初設計者が描いた理想形には少し距離がある形状になっていると思われる部位は多いです。そういうところを全バラ後の部品納入までの期間に微修正します。

ドラスティックにリューターで削るもよし、最低限の段差除去、ズレの補正でもよし、手を加え理想形に近づけます。各チューナーさんの腕の見せ所です。混合気、排気の気持ちになって通路を削ってみてください。

出来ればBRG圧入前に削り加工は行いましょう。BRG圧入後なら、ガムテープなどで、削りカスが内部に入らないようにします。最後に再度洗浄し、エアーブローしてください。

最後に

1997CR250エンジン全バラ編いかがでしたでしょうか。主要な部分を大まかに説明しましたが全体像はイメージできたのではないでしょうか。2サイクルエンジンは、カムシャフトやバルブが無いので簡素な構造で初心者でもTRYできるものだと思います。そんなに難しくはないでしょう?ぜひ皆さんもTRYしてみてください。

次回は組み立て工程をUPします。

もしCR250R1997~2005までのエンジン組みばらしで何か疑問質問ありましたらリクエストください。そこに絞ってUPします。その前のHPP年式でも頑張って調べますよ。

それではまたね。

↓組み立て編予告画像です。

コメント