4サイクルモトクロッサーの250ccと450cc。
どちらも同じ4ストモトクロッサーですが、長く乗っていると、消耗・摩耗・劣化しやすい部品がかなり違うことに気づきます。
単純に考えると、
「排気量の大きい450ccの方が、エンジンに負担が大きくて壊れやすいんじゃないの?」
と思うかもしれません。
ところが、実際には必ずしもそうとは言えません。
むしろ重要なのは、エンジンが持っている絶対的な出力に対して、ライダーがどれくらいの負荷で走り続けるのかということです。
私が考える250ccと450ccの大きな違いは、まさにここにあります。
- 250ccは「全開率」が高い
- 昔の250ccでは「大端ニードルベアリング」が重要な消耗部品だった
- 450ccは「パワーを持て余す」ことがある
- 日本のモトクロスコースでは、さらに事情が違う
- だから450ccはエンジン内部が壊れにくいのか?
- では450ccは、どこが先に摩耗するのか?
- 450ccは「瞬間的な大荷重」が大きい
- 450ccで気になるもう一つの部品がセルスターター
- 450ccではワンウェイクラッチにも負担がかかる
- 熱的な250ccと450ccの違い|450ccは過渡状態に注意
- 250ccと450ccで、必要なメンテナンスも変わってくる
- ここで駆動系の消耗品を一度確認しておく
- 250ccと450cc、消耗する場所は違う
- 「排気量が大きい=全部壊れやすい」ではない
- 最後にMX車ベースで仕立てたモタードの450について
- まとめ|250ccと450ccは消耗する場所が違う
250ccは「全開率」が高い

4スト250ccの特徴は、450ccに比べて排気量が小さいことです。
当然ですが、その分だけ絶対的なパワーも小さくなります。
しかし、モトクロスではこれが大きな意味を持ちます。
250ccは、ある程度のレベルのライダーであれば、コース上でかなりの時間を全開付近まで使うことができます。
つまり、
250cc=パワーを使い切って走りやすい
ということです。
アクセルを開ければ開けるほど、エンジンはその持っている性能を発揮します。
そして、250ccの限界に近い出力を比較的長い時間使い続けることになります。
これはエンジン内部の部品にとっては、決して楽な状態ではありません。
特に影響を受けやすいのが、
- クランクシャフトのメインベアリング
- コンロッド大端部のニードルベアリング、リテーナー
- 動弁系部品
- 頻繁なシフトチェンジによるトランスミッションのダボ、高負荷を受ける部分
といった部品です。
昔の250ccでは「大端ニードルベアリング」が重要な消耗部品だった

一昔前の4スト250ccモトクロッサーでは、コンロッドの大端ニードルべアリングやそのリテーナーなどが、メンテナンス上かなり重要な部品でした。
適切なタイミングで点検・交換を行わずに乗り続けると、最終的にはエンジン内部の大きな修理につながることもあります。
なぜ250ccでは、このようなことが起きやすかったのでしょうか。
理由の一つが、先ほど説明した全開率の高さです。
250ccは排気量が小さいからこそ、ライダーがそのエンジンの性能をかなり使い切ることができます。
つまり、
エンジンが持っている性能限界に近い領域を、ライダーが比較的簡単に使えてしまう。
これが250ccの特徴です。
性能を引き出しやすい反面、エンジン内部の部品には高い負荷が長時間かかることになります。
450ccは「パワーを持て余す」ことがある

では450ccはどうでしょうか。
450ccは250ccに比べて圧倒的なトルクとパワーを持っています。
そのため、一般的なモトクロスライダーが乗った場合、250ccほど簡単には全開を使い続けることができません。
特に国際B級クラス程度までの一般的なライダーであれば、450ccの持っている絶対的なパワーを常に使い切るような走りにはなりにくいでしょう。
つまり、
450cc=パワーを持て余しやすい
ということです。
アクセルを全開にすればものすごい加速をしますが、それを長時間維持するのは簡単ではありません。
結果として、250ccに比べると、
「エンジンの限界付近で走り続ける時間」が短くなる
傾向があります。
日本のモトクロスコースでは、さらに事情が違う
さらに日本国内のモトクロスコースでは、コースレイアウトや最高速度の制限などによって、450ccの圧倒的な最高出力を常に使える環境ではありません。
450ccならではのパワーを持っていても、そのすべてを使える場所は限られます。
そのため、
「高いギアを使いながら、余裕を持った状態でアクセルを開け続ける」
という走り方になることも多くなります。
これはエンジンにとっては、250ccで限界付近まで回して全開走行を続ける状態とは少し違います。
だから450ccはエンジン内部が壊れにくいのか?
もちろん、450ccだから壊れないという意味ではありません。
しかし、一般的なライダーが使用する場合、250ccと比較すると、
- ベアリング
- クランク周辺
- トランスミッション
- ギアの歯面
など、高負荷によって摩耗・劣化する部分が早期に限界へ達するケースは、比較的少なくなると考えられます。
ここが面白いところです。
450ccはエンジンそのものが大きなパワーを発生するため、一見すると「450の方がエンジンに厳しそう」に思えます。
ところが、実際の走行では、その大きなパワーを常に使い切っているわけではない。
そのため、ライダーのレベルやコースによっては、250ccの方がエンジン内部に高い負荷をかけ続けることになります。
では450ccは、どこが先に摩耗するのか?

ここからが250ccと450ccの大きな違いです。
450ccはエンジン内部のベアリングなどが比較的余裕を持って使われる一方で、車体側には450ccならではの大きなトルクが襲いかかります。
特に分かりやすいのが「駆動系」です。
タイヤ
450ccはアクセルを開けた瞬間に大きな駆動力を発生させます。
そのため、リアタイヤにかかる負荷も大きくなります。
結果として、250ccよりもタイヤが摩耗しやすくなります。
スプロケット
当然、駆動力を受けるスプロケットにも大きな負荷がかかります。
特に450ccでは、アクセルを開けた瞬間の大きなトルクによって、スプロケットの歯面に大きな荷重が加わります。
チェーン
同じ理由でチェーンも大きな負荷を受けます。
450ccでは、チェーンの伸びや摩耗についても250cc以上に注意が必要になります。
リヤブレーキ

250に比べると負荷は高くなります。
昔JMB( (Jean-Michel Bayle)は2st250時代にリヤブレーキ多用するライダーでした。
キャリパーが空冷フィンだらけでDOT5 MUSTだったようです。
彼の乗り方の癖もあったと思いますが、4stはエンジンブレーキがとても効くので
リヤブレーキのハードなライダーは少ないです。
450ccは「瞬間的な大荷重」が大きい
ここがポイントです。
450ccは、必ずしも「ずっと高負荷」というわけではありません。
しかし、
アクセルを開けた瞬間に大きなトルクを発生させる
ことができます。
この瞬間的な大荷重が、チェーンやスプロケット、タイヤ、ホイール周辺などに繰り返し加わります。
つまり、
250cc:エンジン内部を高い負荷で使い続ける
450cc:車体側に大きなトルクを瞬間的に入力する
という違いが出てきます。
もちろん実際の摩耗は、ライダーの技量、走行時間、コース、路面、走り方、メンテナンス状態などによって変わります。
しかし、排気量の違いによる大きな傾向として考えると、この違いは非常に興味深いところです。
450ccで気になるもう一つの部品がセルスターター
最近の4ストモトクロッサーでは、セルフスターターを装備したコンペティションモデルが一般的になりました。
ここでも250ccと450ccでは、少し事情が違います。
450ccは単気筒で排気量が大きいため、アクセル操作などによってはエンストすることがあります。
そして、モトクロスではエンストしたら、できるだけ早く再始動したい。
そのため、特に450ccではエンジンが暖まった状態での再始動を繰り返す機会が多くなることがあります。
ここで負担がかかるのが、セルスターター周辺です。
代表的なのが、
ワンウェイクラッチ
です。
450ccではワンウェイクラッチにも負担がかかる
450ccは排気量が大きい単気筒エンジンです。
当然、スターターモーターがエンジンを回すときにも、大きなトルクが必要になります。
さらに熱間時には、エンジン内部の各部品の寸法変化などもあります。
そのため、スターター周辺、特にワンウェイクラッチには大きな負荷がかかります。
しかも450ccでは、エンスト→再始動という動作を繰り返すこともあります。
そのため、
「450ccだからエンジン内部が壊れやすい」のではなく、450ccならではの大トルクによって、スターター周辺など別の部品が消耗しやすくなる
という見方もできます。
熱的な250ccと450ccの違い|450ccは過渡状態に注意

ここまで250ccと450ccの機械的な負荷について考えてきましたが、もう一つ無視できないのが熱的な負荷の違いです。
単純に考えれば、排気量が大きく、発生する出力も大きい450ccの方が、エンジンから発生する熱量も大きくなります。
では、
「450ccの方が冷却性能も高くしないといけないのでは?」
と思うかもしれません。
実際には、ここも少し考え方が違います。
発生する熱量は450ccの方が大きい
エンジンが発生する出力が大きくなれば、それに伴って最終的に熱として処理しなければならないエネルギーも増えます。
その意味では、基本的には250ccより450ccの方が熱的には厳しいエンジンです。
しかし、だからといって、
「450ccは250ccより冷却能力が不足しやすい」
ということではありません。
OEMは当然、250cc・450ccそれぞれのエンジンが適正な温度範囲で運転できるように、ラジエターや冷却系を含めて設計しています。
そのため、通常の走行状態で適切に走っている限り、250ccと450ccで最終的な適正水温に大きな差が出るというより、それぞれのエンジンに合わせて適正温度を維持できるように冷却系が設計されていると考えるべきでしょう。
250ccと450ccで大きく違うのは「過渡特性」
では、250ccと450ccでは熱的に何が違うのでしょうか。
私が特に注意したいのは、過渡状態での温度上昇です。
エンジンが一定の条件で走り続けている定常状態だけを見ると、冷却系は十分に機能します。
ところが、
- アイドリング
- スタート前
- 低速走行
- 渋滞したような低速区間
- ラジエターに十分な走行風が入らない状態
などでは、状況が変わります。
ここでは、ラジエターファンを持たない競技用モトクロッサーの場合、ラジエターに風が当たらないこと自体が大きな問題になります。
そして、このような条件では、450ccの方が不利になります。
アイドリングや低速では450ccの熱量が効いてくる

450ccは1回の燃焼で発生するエネルギーが大きく、低速・アイドリング状態でもエンジン内部では熱が発生しています。
一方、ラジエターは走行風が入らなければ、本来の冷却能力を発揮できません。
つまり、
発生する熱量は大きいのに、冷却能力が十分に発揮できない
という状態が起こりやすくなります。
特にモトクロスでは、スタート前にエンジンを暖機したり、スタートゲート付近で待機したりする時間があります。
このような場面では、450ccの方が水温上昇に注意が必要になります。
スタート前の「空ぶかし」は450ccでは特に注意
モトクロスのスタート前に、エンジンを空ぶかししている光景をよく見かけます。
ところが、450ccの場合、ラジエターに十分な走行風が入っていない状態でこれを続けると、短時間でも水温が急激に上昇することがあります。
場合によっては、2分程度の空ぶかしで冷却水がブリーザーチューブから吹き出すこともあります。
これは450ccの熱的な特徴を非常によく表している現象だと思います。
もちろん、実際の水温上昇は外気温、エンジンの状態、空ぶかしの回転数、冷却水量、ラジエターの状態などによって変わります。
しかし、
「450ccは冷却系が大きいから、多少の空ぶかしなら大丈夫」
と考えるのは危険です。
むしろ、走行風がない状態では、450ccの発生熱量の大きさがそのまま水温上昇につながりやすくなります。
450ccは冷却水量の管理も重要
このため、450ccでは冷却水量の管理を特に注意したいところです。
冷却水が適正量に入っているか。
ラジエターに異常がないか。
ラジエターフィンが泥やゴミで詰まっていないか。
ラジエターキャップやホース周辺に異常がないか。
こうした基本的な点検が重要になります。
特に一度冷却水を吹いてしまった場合、
「少し減っただけだから大丈夫」
とそのままにするのではなく、冷間時に適正な冷却水量まで戻しておくことが大切です。
冷却水が不足した状態でさらに走行すれば、当然ながら冷却性能は低下します。
450ccは「冷却能力」より「冷却できない時間」に注意する
ここまでの話を整理すると、250ccと450ccの熱的な違いは、
「450ccは冷却能力が足りない」
という単純な話ではありません。
むしろ、
「450ccは発生する熱量が大きいため、冷却風がない過渡状態で温度が上昇しやすい」
という点が重要です。
通常走行では、ラジエターに十分な走行風が入り、冷却系が適切に機能します。
しかし、
アイドリング → 空ぶかし → スタート待ち
のように、エンジンは熱を発生しているのにラジエターへ十分な風が入らない状況になると、450ccは一気に不利になります。
これは250ccと450ccを比較するときに、意外と見落とされやすいポイントではないでしょうか。
250ccと450ccは、機械的な負荷だけでなく、熱的な負荷についても「どれだけ熱が発生するか」だけではなく、「その熱をどのような条件で逃がせるのか」まで考える必要があります。
250ccと450ccで、必要なメンテナンスも変わってくる

ここまで読んでいただくと、250ccと450ccでは「同じ4ストモトクロッサーだから、同じところを同じように整備すればいい」というわけではないことが分かると思います。
250ccならエンジン内部の高負荷部品。
450ccなら駆動系やスターター周辺。
もちろんオイル、フィルター、チェーンなどの基本的なメンテナンスはどちらにも必要ですが、排気量によって重点的に見たい部分が変わってくるわけです。
ここで駆動系の消耗品を一度確認しておく
特に450ccに乗っているなら、タイヤ、チェーン、前後スプロケットは日常的に状態を確認しておきたい部品です。
モトクロスでは、これらは単なる「消耗品」ではなく、駆動力を路面へ伝える重要な部品でもあります。
「まだ使えそうだから」と限界まで使うより、摩耗状態を確認しながら早めに交換する方が、結果的に安心して走れます。
モトクロスで消耗の早いチェーン・スプロケット・タイヤなどは、練習に行く前に一度状態を確認しておきたいところです。私自身も「まだ大丈夫」と思って使い続けて、あとから交換時期に気づくことがあります。普段使っている消耗品はこちらにまとめています。
250ccと450cc、消耗する場所は違う
ここまでを整理すると、250ccと450ccでは、同じ4ストモトクロッサーでも消耗の傾向がかなり違います。
250cc

エンジンの性能を使い切りやすい。
そのため、
- クランクシャフトメインベアリング
- コンロッド大端ニードルベアリング
- メイン軸L側BRG
- R/LケースBRGハウジング
- 動弁系周辺
- 頻繁なチェンジによるギアのダボや歯面そのもの駆動部品
といった、高負荷・高回転で使われるエンジン内部の部品に注意が必要です。
450cc
エンジンの絶対的なパワーが大きいため、一般的なライダーでは全開率が低くなりやすい。
その一方で、
- リアタイヤ
- チェーン
- スプロケット
- ホイール周辺
- スターター
- ワンウェイクラッチ
- オートデコンプ
など、大きなトルクを受ける車体側やスターター周辺の消耗に注意が必要になります。
「排気量が大きい=全部壊れやすい」ではない
モトクロッサーの耐久性を考えるとき、単純に、
「250より450の方が排気量が大きいから、450の方が壊れやすい」
と考えるのは少し違います。
重要なのは、
どの部品に、どんな荷重が、どのくらいの時間、何回繰り返し加わるのか。
これです。
250ccは、エンジンの性能限界に近いところをライダーが使いやすい。
450ccは、エンジンの絶対的な出力が大きいため、それを常に使い切るのは難しい。
その結果として、
250ccは「高負荷を使い続ける」ことによる消耗
450ccは「大トルクを瞬間的に入力する」ことによる消耗
が目立ってきます。
もちろんこれはあくまで一般的な傾向で、トップライダーのように450ccのパワーを積極的に使い切るライダーになれば、話は大きく変わります。
だからこそ、モトクロッサーのメンテナンスは「何時間乗ったからこの部品を交換する」というだけではなく、自分がどんな乗り方をしているのかを考えることが重要なのです。
最後にMX車ベースで仕立てたモタードの450について
モタード走行では、4ストの消耗傾向がさらに変わる
ここまで読んでいただいた方なら、250ccと450ccでは、単純に排気量だけで消耗や劣化を判断できないことがおわかりいただけると思います。
そして、さらに話を複雑にするのがモタード走行です。
モトクロス(MX)とモタードでは、同じ4ストモトクロッサーをベースにしていても、バイクにかかる負荷が大きく異なります。
特にターマック、つまりアスファルト路面で走行すると、450ccでも250ccと同じような「エンジンを使い切る負荷」が発生しやすくなります。
ターマックでは450ccでも全開にしやすい
MXコースでは、450ccの圧倒的なパワーを誰もが簡単に使い切れるわけではありません。
路面のギャップやジャンプ、コーナー、路面状況などによって、アクセルを開けられる時間や量が制限されるからです。
ところが、アスファルト路面では事情が変わります。
路面が平坦でグリップも安定しているため、450ccでも比較的簡単に全開までアクセルを開けられるシチュエーションが増えます。
さらに、ストレートでは数秒間にわたって全開状態を維持することも可能になります。
これはMXで450ccを走らせる場合とは、エンジンにかかる負荷が大きく異なります。
つまり、
「450ccだからパワーを持て余して、エンジンに余裕がある」
という、MXで成立していた前提が、モタードでは崩れる可能性があります。
450ccでも250ccと同じように、エンジンの性能を使い切る走行になりやすいのです。
450ccでもエンジン内部の負荷が高くなる
前の記事で説明したように、250ccでは全開率が高くなりやすいことで、クランクシャフトのメインベアリングやコンロッド大端部のニードルベアリングなど、エンジン内部の部品に高い負荷がかかり続けます。
モタード走行では、450ccでも同じような状況が発生する可能性があります。
特に、
- 長いストレートでの連続全開
- 高いエンジン回転数を維持する走行
- 高いギアでの連続加速
- アスファルト路面での強いトラクション
- クラッチ容量変更+スリックタイヤ+ジャンプ着地
などが組み合わさると、MXを前提とした走行とはエンジンの使用状態が大きく変わります。
その結果、450ccであっても、MX走行では比較的余裕があったエンジン内部の部品に対して、より大きな負荷が繰り返し加わることになります。
アスファルトでは駆動系への負荷も大きく変わる
さらに注意したいのが、エンジンだけではありません。
アスファルトと土の路面では、タイヤと路面の関係が大きく異なります。
MXでは、路面が滑ったり、タイヤが空転したりすることで、駆動力がある程度逃げる場面があります。
一方、グリップの高いアスファルトでは、タイヤが路面をしっかり捉えます。
そのため、エンジンが発生したトルクが駆動系へ伝わりやすくなります。
つまり、
エンジン → クラッチ → ミッション → チェーン → スプロケット → リアホイール → タイヤ
という駆動系全体に、MXとは異なる大きな荷重がかかる可能性があります。
450ccの大きなトルクをアスファルトの高いグリップで受け止めることになるため、チェーンやスプロケットだけでなく、その先にあるホイールやハブなどにも負荷の違いが出てきます。
ジャンプでもMXとは負荷が違う
モタード走行では、サーキットによってジャンプやバンクなど、MXに近い要素が入ることもあります。
しかし、ここでも「ジャンプがあるからMXと同じ」とは限りません。
特にアスファルト上でのジャンプでは、着地時のタイヤグリップが土のMXコースとは大きく異なります。
MXでは、土の路面やサスペンション、タイヤの変形などによって、着地時のエネルギーが逃げる部分があります。
一方、アスファルトではタイヤが強く路面を捉えるため、着地時に発生する荷重が、サスペンションだけでなく、
- ホイール
- ハブ
- スポーク
- フォーク
- ステム
- フレーム
- スイングアーム
など、車体各部へ伝わる状況も変わってきます。
もちろん、実際の負荷はコースやジャンプの形状、着地姿勢、速度、サスペンションセッティングなどによって大きく変わります。
しかし、「MX用のモトクロッサーだから、MXと同じ感覚でメンテナンスすればいい」とは限らないということは、頭に入れておく必要があります。
OEMのサービスマニュアルだけでは判断しにくい部分がある
ここが、モタードで使用する場合に特に注意したいポイントです。
OEMが設定しているサービスマニュアルのメンテナンス周期は、基本的にはメーカーが想定した使用条件や走行状態を前提に設定されています。
ところが、モトクロッサーをモタード仕様にしてアスファルトで走らせると、その前提から外れる可能性があります。
例えば、
「モトクロスで○○時間ごとに点検」
と記載されていたとしても、
「モタードでも同じ○○時間で問題ない」
とは必ずしも言えません。
450ccでも全開率が高くなり、エンジン内部にかかる負荷が増える。
さらに、アスファルトの高いグリップによって駆動系や車体へ伝わる荷重も変わる。
こうした条件が重なると、OEMが想定しているMX走行とは異なる部品の消耗・劣化が起こる可能性があります。
モタードでは「走行時間」だけでメンテナンス時期を決めない
そのため、モタードでモトクロッサーを使用する場合には、
「何時間走ったから交換する」
だけではなく、
「どんな条件で何時間走ったのか」
まで考える必要があります。
同じ1時間の走行でも、
- MXコースを走った1時間
- アスファルトサーキットを走った1時間
- 長いストレートを何度も全開にした1時間
- 高グリップタイヤで強いトラクションをかけ続けた1時間
では、バイクに与える負荷は同じではありません。
これはモタード仕様でモトクロッサーを楽しむうえで、非常に重要な視点だと思います。
モタードのメンテナンスは、また別の考え方が必要
ここまで書くと、モタード走行では、
「じゃあ、具体的にどの部品を、何時間ごとに点検・交換すればいいの?」
という疑問が出てくると思います。
実際、ここまで考え始めると、
- エンジンオイル
- クランクベアリング
- コンロッド
- ミッション
- クラッチ
- チェーン
- スプロケット
- ホイール
- ハブ
- スポーク
- フォーク
- ステム
- フレーム
- スイングアーム
- ブレーキ
など、確認すべき場所はどんどん増えていきます。
列挙するとキリがありません。
今回は250ccと450ccの消耗傾向の違いを中心に考察しましたが、モタード走行における具体的なメンテナンス部位と交換・点検頻度については、また別の機会に詳しく考えてみたいと思います。
少なくとも、モトクロッサーをモタードとして使用しているのであれば、
「OEMのサービスマニュアルに書かれているMXでのメンテナンス周期を、そのままモタードにも当てはめて大丈夫なのか?」
という視点は、一度持っておいた方がいいでしょう。
バイクの寿命を決めるのは、単純な排気量や走行時間だけではありません。
「どんな路面で、どんな速度で、どのくらいの負荷をかけて走ったのか」
そこまで考えて初めて、本当の意味でのメンテナンス周期が見えてくるのだと思います。
まとめ|250ccと450ccは消耗する場所が違う
4スト250ccと450ccの消耗・劣化について考えてみました。
結論としては、「450ccの方が排気量が大きいから壊れやすい」「250ccの方が小さいから長持ちする」と単純には言えません。
むしろ重要なのは、それぞれのエンジンがどのような負荷で使われるのかということです。
250ccは絶対的なパワーが450ccより小さいため、ライダーがエンジンの性能を使い切りやすくなります。
その結果、全開率が高くなり、エンジンの限界に近い領域を長時間使うことで、
- クランクシャフトのメインベアリング
- コンロッド大端部のニードルベアリング
- 動弁系
- トランスミッションのダボやギア歯面
など、エンジン内部の高負荷部品に負担が集中しやすいと考えられます。
一方、450ccは圧倒的なパワーとトルクを持っているため、一般的なライダーでは、そのすべてを使い切って走り続けることは難しくなります。
そのためエンジン内部では、250ccほど限界付近の負荷を長時間かけ続ける状況が少なくなる一方で、
- リアタイヤ
- チェーン
- スプロケット
- ホイール周辺
- スターター
- ワンウェイクラッチ
など、大きなトルクを受ける部分の消耗が目立ちやすくなります。
つまり、
250ccは「エンジンを使い切る」ことで消耗し、450ccは「大きなトルクを入力する」ことで消耗する。
これが、250ccと450ccの消耗を考えるうえでの一つのポイントだと思います。
もちろん、これはあくまで一般的な傾向です。
ライダーの技量、走行時間、コース、路面状況、アクセルワーク、メンテナンス状態などによって、実際の消耗具合は大きく変わります。
特に450ccのパワーを積極的に使い切れる上級ライダーであれば、今回とはまた違った消耗傾向になるでしょう。
だからこそ、モトクロッサーのメンテナンスでは、単純に「○○時間乗ったから交換」だけではなく、自分の走り方とバイクにかかっている負荷を考えて、消耗部品を見極めることが大切です。
250ccと450cc。
同じ4ストモトクロッサーでも、「どこが消耗しやすいのか」を知っておくだけで、メンテナンスの考え方はかなり変わってきます。
今日はこのへんで。
またね。

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