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2stキャブ車のエンジンエンジンかからない時どうする?スリップダウンから再始動編!

RIDE

結論:バイクを起こしたらニュートラルでアクセル全開キック!

ニュートラにしてアクセル全開にして、思いっきりキックを踏み下ろします!

大丈夫です。アクセル全開で蹴ってください。

チョークは必要ありません。

チョークを引いた状態でだいぶキックしましたか?

更にエンジンがかかりにくくなります。

チョークは走行時の位置に戻してアクセル全開でキックしましょう

エンジンはかかります!

焦らずティアオフでも1枚めくってから、キックしましょう!

スリップダウン直後は通常の始動時とは条件が違うのです。

冷間始動時とは条件が大きく2つ異なります。

1つ目に、転倒直後はエンジンの温度が上がります。シリンダーのポートを中心に吸気通路内も高温になります。掃気されて来る空気の密度は薄くなりますので、相対的にガソリンが濃い状態になります。

2つ目に、転倒すると2サイクルキャブ車の場合、キャブから一部のガソリンがエンジン内部に直接流れて行きます。生ガスが直接流入し、キックのクランキングで、プラグまで十分に到達します。プラグがガソリンでかぶるのです。

以上のことから、転倒直後は冷間時とは条件が異なるのです。

でもなんで、アクセルを全開にするの???

アクセル全開にしてキック(始動)すると、空気だけたくさん入り、ガソリンは流れにくくなるので熱間時はエンジンが始動しやすいのです!

それでは2stエンジン再始動編始まり始まり

今日は2stバイクの転倒直後の再始動についてです。皆さんモトクロスでスリップダウンしたとき、焦って立ち上がって頑張ってキックしたのに、なかなかエンジンが始動しない時ってありますよね。あれマジ困る~。レースでバトってるときに、転倒&再始動で体力を使って、ハイ終了~って勘弁です。

体力を消耗しているときのエンスト。できれば再始動は1発で決めたい!

じゃあどうするか。

ここから説明することは、応用編として冷間始動時や、エンジンが調子悪いなと思った時の原因追及にも使える知識になります。

転倒直後のエンジンってどうなってる?

先ほど少し書きましたが、転倒直後のエンジンって大きく2つの要因でガソリンと空気の混合比は濃い状態

になっています。

①ラジエターに走行風が当たりません。ウォーターポンプもSTOPしています。冷却水は循環しません。熱せられた燃焼室、ピストンまわりの部品温度によって数分間は水温とエンジンそのものの温度は上がり続けます。シリンダーのポートを中心に吸気通路内も高温になります。エンジン内外壁温度急上昇→吸気通路内の空気温度上昇→吸い込んだ空気は熱せられるので空気密度は薄くなる→吸い込んだ体積のわりに酸素が薄い→相対的にガソリンが濃い燃調になります。

②キャブから直接ガソリンがエンジン内に流れる。オーバーフローして一部は外に一部は内部に流れ続けます。。

横倒しの際にキャブレター通路内に流れ出たガソリンは、バイクを起こしたときに、ほぼほぼエンジン内に流れて行きます。エアクリーナーBOX側には行きません。設計的にキャブレターより低い位置にリードバルブは配置されていて、更にリードバルブから先の通路もエンジン内によどみなく流れていくように吸気通路は設計されています。一番低い場所はクランク室です。生ガスと2stオイルは溜まっている状態になります。

アクセル全開でキックするとどうなるか?

アクセル全開でのキックでは、空気はたくさん流れます。しかし空気の流れるスピードはしょせんキックで回るエンジンの回転数(250rpm前後)ですので、たいした空気の吸い込みスピードは発生しません。すなわち、キャブレターの各ジェット(メインジェット、スロージェット、パイロットジェット)から空気の負圧によって吸い出されるガソリンの量は超最小限になります。ほぼほぼ空気だけがエンジン内に吸い込まれて行き、1次圧縮され、燃焼室に到達し、2次圧縮されます。

反対にアクセル全閉で上記と同じようにキックすると、ある意味で正しい条件ですので、スロージェットから吸い出す為の負圧が適切に発生します。アクセル全開より濃い状態になります。

キャブ基本構造のおさらい

MIKUNI

TMX30キャブレター リペアパーツ

引用元:MIKUNI

転倒時にクランク室に溜まった生ガスはどうなるか?

クランク室に溜まっていた生ガスは、エンジンが始動すると1次圧縮によって撹拌されながら燃焼室に上がります。とても濃いのまま2次圧縮され、それでも着火しやすい部分は着火し燃焼が起きます。転倒後の始動時は白煙モウモウになったりしますが、あれは濃い状態でも頑張って燃焼してくれている時に出ます。一部燃えなかった生ガスはそのままチャンバーに流れて行きます。余計な生ガスをクランキングでEXH側に吐き出すことも大切です。調子悪い2stバイクのチャンバーを外して逆さまにすると、ガソリンがジャーって出てきたりします。

そもそもキックペダルってどう蹴るべきか…。

キックは一番高い位置で一番キックが硬い場所(圧縮上死点)に調整したあとに、できるだけ頑張って思いっきり下まで踏み下ろす事をお勧めします。このキックのやり方だと2stMXだと着火チャンスは2回ほど発生するはずです。勢いよくキックできれば慣性であと1回転はクランキングします。合計3回の着火チャンスがあれば転倒直後の燃調が狂った状態でも再始動は可能です。

ちなみに昔のXR250のキックは上から下まできれいに踏み下ろして着火チャンスは1.4回ほどです。フリクション等で勢いよくキックするのも難しいENGなので、始動は苦労しますよね。更にマニュアルデコンプ式の時代の車両だとほんと大変です。

話しは戻りますが。転倒直後は焦ってますが、安定してキックできるように足場を確保して満を持して思いっきりキックしましょう。

コース上にもスタンドが置いてあればラクなのに。。。

だから、転倒直後はアクセル全開でキックするとエンジンはかかります。

そうなんです、転倒直後はだいたいの場合、空燃比が濃い状態になりやすいのです。よって、超極端に薄い状態にしてあげるとエンジンに再度火が入ります。転倒すると、キャブからリードバルブを通過してケース内のクランク室まで生ガスが流れる場合があります。生ガスが入ってしまっている場合、エンジン始動直後は、濃い状態が少し続きます。エンジンストールさせないようにうまく空ぶかしして、エンジンの吹け上がりが安定するまで吹かします。若干びっくりするくらい白煙が出たりしますが、それがまさに濃い状態だったという事です。白煙が収まるまでは、上手に空ぶかしすることをお勧めします。

ちなみに空燃比が濃い状態になるのは4stMX車も同一です。4stMX車の方が熱的に厳しいので、もっと吸気通路内温度は上がります。よってこちらもアクセル全開でエンジンをかけたくなるのですが、4stキャブ車は加速ポンプというキャブレターに注射器のような機械式のノズルが付いています。ガソリンが液体で直接吹きでるノズルです。アクセル開度に対して機械的に連動した構造でしたので、エンジンがかかっていない状態でアクセルをあおるとガソリンがポートの方にぴゅーっと吹き出ます。バリバリ空燃比は濃くなります笑ので、エンジンは始動しにくくなります。よって4stMX車のキック時代の車両には”ホットスターター”というレバーがハンドルに付いていました。キャブレーターに空気だけを送りこむバイパス通路が付いていてこれを開ける作業を行っていました。

現代のFI車では水温を感知していますので、高温時の始動はインジェクションから出るGASを自動で薄くしてくれます。いやー最新はマジなんもせんでもいいわ~。

応用編です。

冷間時ちょっとオーバーフローしている時ってエンジンかかりにくいですが、チョークを戻してアクセル全開でキックすると、エンジンがかかったりします。オーバーフローしていると、燃調が濃い状態になりやすいからです。

上記のようにエンジンが始動しないときっていろいろ原因はありますが、

燃料が濃くてエンジンがかからないのか?

燃料が薄くてエンジンがかからないのか?

キックする前に少し考えてから、チョークを引いて濃くした始動と、アクセル全開での薄くした始動を使い分けると始動する可能性が高まります。

ぜひ応用編として頭の片隅に置いておいてください。きっと役に立ちます。

まとめ

転倒直後の2スト再始動はアクセル全開でキック!

なぜならば、ガソリンが濃い状態が多いから、薄い状態をつくると着火しやすくなる。

キックは一番高い位置から下まで踏み下ろす!上手にキックして1回のキックで3回の着火チャンスをつくる。

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