結論です:おそらく濃い。確認として試しにやれること
2stモトクロスバイク、中高回転が綺麗に廻らない。なんだかボコつく。
そんなときはおそらくガソリンが濃いです。
もちろん薄すぎる場合もありますので、確認のため試しに簡易確認してみる手法があります。エアスクリューを緩める方向に半回転ほど回してみてください。その状態で再度トライしてみてください。多少良くなりますか?良くなるなら、ガソリンが濃いです。
エアスクリューはスロットル低開度のみに影響しますのでエンジン高回転側には効果は薄いですが傾向は確認は出来ます。
また、マシンが量産状態に対し改造が少ない場合はマニュアルを参照してみて下さい。その日その場所の外気温、高度に対してOEMが推奨するキャブオーダーに変更してみて下さい。きっと普通になります。
今日のお題。2stエンジン高回転が綺麗に吹けきらない事象
2ストロークバイクでアクセルを開けたときに高回転で綺麗に廻らないない、あるいは実際にそのままエンストしてしまう――そんな悩みを解決します。この記事では、キャブレター車でよくあるこの症状の原因や、調整ポイント、セッティングの基礎知識まで分かりやすく解説します。初心者でもすぐにできるチェック方法も紹介!

よくある高回転のボコつきとは?
走行前の暖気運転中に気がつく場合が一般的です。アクセルをスナップしてエンジン回転数を上下させながら段々高回転まで空ぶかしすると思いますが、高回転が綺麗にまわらずに頭打ちすることがあります。パイーンとまわらず、ボコボコいいます。そのゾーンでアクセル全開にすると、そのままエンストしそうになります。低中回転領域は問題ない状態です。
まるでチョークを引いたままの様な状態です。
2st特有の事象か?故障か?と言えば
よくある特有の事象です。
2st特有のよくある事象補足

チャンバーの効果が出る回転域で2stは一気に出力が発生します。上図のB点からA点に向けて一気出力が立ち上がるイメージです。但しピンポイントの条件なのです。2stエンジンがピーキーだと言われる由縁です。その条件を外すと顕著に出力が低下します。よって各社OEMはできるだけ外乱の影響を受けにくく安定して出力が維持されるような設計を行いました。但しロバスト性を持たせると、ピーク馬力や、力強い部分が無くなりやすいので各社苦労したところです。たとえばミクニTMXχはセッティングが決まるとピーキーな特性を補う凄くいいアイテムですが、セッティングスキルを必要としました。
確認の方法
アイドリング回転域から、アクセルパーシャルで回転が維持出来るところを探します。そこから少しずつアクセルを開け増しします。5%、10%、15%・・・。そのアクセル開度でそれぞれエンジン回転数が正しく上昇し、そして維持するかどうか確認します。各アクセル開度で5秒〜10秒アクセルを維持します。パーシャルです。キャブセッティングが適切だとパーシャルで回転数が維持できます。調子が悪いとその回転数を維持できません。高回転域は低回転域に比べガソリンが濃いか薄いかの影響を受けやすいのでキャブセッティングを外している場合、7000回転くらいからきれいに廻らないところが発生しやすいです。
綺麗に廻らない回転域が見つかったら更に詳細を確認します。アクセルパーシャルから少しずつ開け増しするとふけ切るか/吹け切らないか、アクセルパーシャルから一気全開にするとふけ切るか/吹けきらないか。
パーシャルからゆっくり全開して吹け上がるけど急開すると吹け切らないならば、メインジェットが怪しい。
パーシャルからゆっくり全開でも吹け上がらないならば、メインジェットジェットとニードルが怪しい。
そんな具合に確認して判断します。
そもそも高回転でボコつく原因
燃料系、供給不安定
燃料ホースや燃料コック、燃料タンクキャップの詰まりが無いか。そこはOKなら次へ。
点火系、プラグの劣化
プラグがかぶってないか。案外プラグ替えると治ります。更にイリジウムなどの着火性のよいプラグは多少キャブセッティングを外していても、燃やしてくれます。
EXHデバイスの作動不良
デバイスが付いているなら正しく作動しているかどうか。RCバルブなど。
そして、キャブの状態
メインジェットの詰まりが無いか。無ければ今日のお題セッティングそのものとなります。
先に書きましたが綺麗に吹けきらない原因には濃い場合と薄い場合があります。両方ありえますので、
試しに確認する方法があります。
エアスクリューを緩めてみて薄くした状態でどうなるか確認します。
だめならエアスクリューを締める方向に回してガソリンを濃い状態にしてみます。
どうですか?どっちがいい感じですか?
この作業でだいたい方向性が判断できます。
補足
無負荷でボコつく場合はだいたいの場合ガソリンが濃いです。無負荷では薄すぎてもボコ付くことは少ないです。
逆に実走時にアクセル急開でボコ付くのはだいたい薄い場合です。わかりやすい事例はジャンプ着地やフープスでキャブは揺すられてオーバーフローします。油面が下がり供給されるガソリンが減ったときに薄い症状が出ます。
こんな時はメインを濃くする他にエアベントチューブを工夫してオーバーフローを抑えたり、フロートの油面を上げたりします。
エアスクリューはピックアップをつかさどる。ただし簡易確認にも最適。
エアスクリューはアクセル開け口の最初の部分でのエンジンピックアップをねじ1本で確認できます。今日のお題は高回転域なので本来ならメインジェットの影響が大きいですが高回転域が廻らないくらいキャブセッティング外している場合は低回転域からすでにセッティングズレている可能性がありますのでエアスクリュー調整でも簡易的な確認ができます。簡単な方法なのでやってみてください。
方向性が分かったら、本来やるべきメイン系の流量を変更します。
エアスクリューを緩めて薄くすると良くなったなら、方向性が分かったのでいまから具体的にメイン系を変更します。
濃い事が分かった場合は、最初はメインジェットを確認します。2ランクは下げてみてください。
次にジェットニードルのクリップ段数を確認します。クリップの位置が極端に下の位置にありませんか?
スロットルバルブ開度に対して相対的にニードルが引っ込んでいる位置だとがガソリンが
先走って吐出されますので濃くなりますよ。
クリップの段数をセンターにするか、試しにセンターより上にしてください。
スロットルをあおったときのガソリンが薄くなります。
全開領域はメインジェットで決まってますので、レーシングして確認してください。
最後にスロージェット。スロージェットはあまり選択肢がないはずですので、そんなにずれていないのでは
ないかと思いますが、確認して濃いようなら、1ランク下げてみてください。
ポイントはメインジェットは全域に影響するから、まず高回転が廻るように先に決める。
優先順位の話し。
ミクニTMX改が付いたKTMなどはジェットニードルのテーパ形状が超トリッキーなものがあります。

中間開度での濃い薄いをピンポイントでコントロールしています。今回のような事象の場合ついニードルクリップ段数や、テーパー角度違いを先に疑いたくなる場合がありますが、上が廻らないならばまずはメインジェットを単純に絞って上がシンプルに廻るようにします。なぜならばメインは全域に影響するので、ニードルなどの細部セッティングがやり直しになったりします。また、上まで綺麗に廻るようになると現実的には案外全て許容範囲に収まったりします。
ニードルクリップ段数やニードルテーパー角度違いはまた今度にしましょう。
まとめ
無負荷でアクセルをスナップしたときにボコ付くのは濃い場合。
エアスクリューを回して方向性を確認し、濃いならばメインジェット番手を2ランクほど薄くする。
その次にジェットニードルクリップ段数を確認し基本はセンターにセットアップする。
またね。
マグネット付きでフロート室のプラスねじ4本を紛失せず確実に回す大き目サイズのドライバーが必要。
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