2stオイルってどれを選べば良い?
2stバイクに乗るユーザーから、2stOILは何を使えばいいですか?という話しを良く聞きます。
最近選択肢は少なくなってきましたが、欧州メーカーはまだまだ2stバイクを生産していますしEDの世界では
総合的競争力の高いバイクですので、特に輸入品に銘柄は多いです。できれば性能がUPするオイルや
耐久性がUPするオイルを入れたいと皆さん考えるので、迷うかたは多いと思います。
結論:迷ったら純正が良いです
結論は純正で推奨しているOILが良いです。
これは、4stエンジンよりもそう言えます。
ちなみに私は HONDA GR2 40:1 暦32年笑
私はHPの名称でもあるKZ3に乗る事が多かったのですが、GR2歴32年です
別に自慢ではないですが、何も不具合なく圧倒的な実績を感じていますのでGR2です。
CRシリーズ共通の推奨OILです。
なぜならば燃焼に直接影響するから
燃焼に直接影響するからです。
2stOILは燃料に直接混ぜますよね。4stに無い特徴です。
例えば、高圧縮で高温燃焼する2stエンジンなら高温環境でも潤滑性能があり、大荷重でも油膜が切れない特性のOIL。
例えば、低回転、トルク型ENGならば、ゆっくり回り続ける燃焼特性を助ける燃えやすい特性のOIL。
メーカーが推奨する2stOILはそのバイクの特性に合った2サイクルOILです。
もちろんメーカーが推奨するということは、性能や耐久性の保証も兼ねていることが多く、
それはすなわち OEMはその推奨OILで開発している可能性が高いという事です。
2stレーサーならばそのエンジン特性がそのマシンの価値そのものですよね。
そのエンジン特性をおそらく最大限発揮するのがメーカーが推奨する2stOILだと言えます。
現実的にはライダーにとって影響はどこに現れるか
燃焼とか言うと難しい話しになってしまうので、ここでは
現実的にライダーやユーザーにとって2stOIL選びがどのような形で影響が出るか考えます。
①白煙が多い/少ない
もっとも影響が出る部分です。
しかし、これはOIL銘柄が直接影響することは少なく、その多くは走行のシチュエーションや走行モードによるところが多いです。
②サイレンサーのエンドから黒いOILがたれる/たれない
②の延長線に現れる事象です。
しかしこれもOIL銘柄が直接影響していない場合がほとんどです。
③プラグがかぶってエンジンがかからない
①②の更にその先に現れる最終事象です。よくある事です笑。
2stの宿命に近い。笑。
①②③がなぜ起きるか!?
2stオイルの固定された混合比率がその主要因です。
2stエンジンはクランク及びシリンダーをガソリンに混ぜた2サイクルオイルで潤滑しています。
2サイクルオイルのその混合比も本当はエンジン回転数やその負荷の違いなど運転条件やその部位によって変更したいのですが、それが技術的に大変難しいのです。
2stの混合気はキャブ→インマニ→リードバルブ→クランク1次圧縮室→シリンダーポート→燃焼室の順序で流れて行きます。
各部いい感じに潤滑/冷却しながら、混合気は各部最適に流れて行く必要がありますが、燃焼室でガソリンが燃焼するときは、本来は2stOILは無い方がいいわけです。
また、高回転でのエンジンブレーキモードはアクセル全閉中は燃料がほとんど流れませんから、その燃料に混合したオイルも当然供給されないモードです。2stオイルが最も欲しいタイミングで2stエンジンはオイルが供給されにくいのです。
ピンポイントに最適の2stオイルを供給する事は技術的に難しく、もし供給できたとしてもそのオイルも含めて燃焼させ馬力を安定して出さなくてはなりません。大変難しい燃焼制御が必要です。
よって一般的には一番負荷が高いところで確実に潤滑するような2stオイルの混合比にします。
2stコンペモデルの混合給油タイプがそれです。
40:1や30:1など、常に一定の2stOIL混合比の燃料を作って、タンクにいれていると思います。
だから、負荷が少ない場合はOIL過多なのです。
ゆっくり走ったとき。
アイドリングさせたとき。
ガレ場走ったとき。
渋滞に捕まったとき。
小さいコースを走ったとき。
8の字の練習をしたとき。
サイレンサーからOILが滴り落ちることがあります。
仕方ない。これわりと普通です。
軽く安く維持が容易な2ストバイクの唯一の欠点でしょうか。
よって高価な2stOILを入れても入れなくても①②③にはあまり関係ありません。
④シリンダーが焼き付きやすい/焼き付きにくい
2stエンジンが焼きつくときの経験上の主原因は冷却不足です。LLCが入ってない、ホースが抜けた(´;ω;`)
などオーバーヒートが先です。
2stOIL銘柄が直接影響したと感じた事はありませんが、2stオイルも2次的には影響して、エンジン不調に至る初歩的な事柄が2つありますので記載します。
ENG不調要因その一 2stOILが濃い/薄い
どんなに高価な2stOILを入れてもその混合比が適切でないと、2stエンジンは絶不調になります。
2stエンジンが神経質な取り扱いを必要とする理由の一つです。
混合比はオイル銘柄によって推奨比率がありますが、ユーザーが更に調整しても良い部分でもあります。
長年使って経験値がある場合は、その銘柄でそのスペシャル混合比で最高のセッテイングを見出す事も
あるかもしれませんがかか、超マニアック領域です。
OILが濃い/薄いによるエンジン不調にはそのOILのガソリンへの混ざりやすさも
影響します。例えば昔ストロールA747という2st混合OILがありましたが、大変硬く、ガソリンと混ぜるのを苦労
しました。混ぜ不足が起きると、OILが濃い時と薄い時が走行中に発生しますので、両極端な不具合が
発生します。ライダーは大混乱です。
ENG不調要因その二 燃調が濃い薄い
2stOILが高価なもので、
2stOILの混合比が濃くても
燃調が薄いとエンジンは焼き付くことがあります。
そうです、キャブセッテイング!!!
メインジェットが薄くて高負荷ならばオイルが多少濃くても焼き付くのです。
2ストはガソリンでもエンジン内を冷却し、2ストオイルの潤滑補助をしています。燃調が薄いと冷却と潤滑が不利です。
2stOILの耐焼き付き性能等を評価する為には、まずキャブセッテイングが出ていることが重要です。
まあ、2stOILを変えるとキャブセッテイングも多少変わると思いますが。。。
卵が先か、鶏が先か、という話しに近い。
難しいですよね。
いややっぱ2stって面白いわ。
分離給油と混合給油
いま皆さんが乗っているバイクがもし分離給油のバイクならば、そのOILの選択は更にとても重要になります。
分離給油はその名の通りバイクには2サイクルオイルのみ分離した状態で給油すれば良い給油タンクが付いています。
分離された給油タンクから自動で少しづつ2stオイルがガソリンに混ざるような構造になっています。
その時の2サイクルオイルがガソリンに対して混ざっていく比率は機械的に決まっています。
2stオイルメーカーが推奨する混合比率があっても、変更することはできません。
これに対して、混合給油といわれる2stオイル給油は、ユーザーがその都度、混合比率をメスシリンダーで測って
混合します。2stオイルの混合比率は変更可能です。
上記のように分離給油のバイクの場合、2stオイルの混合比を調整できないので、オイルメーカーが推奨する
混合比率とバイクが自動で給油するOILの比率が異なる場合、マシンの不調がこの時点で発生します。
純正の分離給油用2stオイルは、バイクの分離給油の混合比とセットで開発されていますので、
OIL混合比起因の不具合は発生しません。
80~90年代の公道用市販車の2stバイクは分離給油のOIL吐出量を固定ではなく、バリアブルに制御する構造を
取り入れました。その時代にコスト的に許される最大の仕様を投入したと思います。
しかし現実は厳しかったですよね。焼き付いたり、白煙モウモウだったり。
この構造についてはまたいつか書きたいと思います。
まとめ
2stOILは迷ったら純正推奨OILを入れる。
2stOILはエンジンの出力特性や燃焼特性に合わせたOIL性能が必要だから。
白煙やマフラーからのOIL垂れは乗り方や乗ったコースによるもの。
混合比は銘柄選択の次にとても重要。推奨値で固定して使って経験値を重ねることが大切。
焼き付き発生したときは、OILを疑う前にキャブセッテイングを疑え。
分離給油バイクは特にメーカー推奨OILが間違いない。
ではまたね。
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