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チョークを使っても2stエンジンが始動しにくい時は?

MAINTENANCE

2stバイクで暖気後なのにエンジンかかりにくい時ありますよね。

エンジンが温まっている状態なのに、なぜかチョークを引かなければエンジンが始動しない場合あります。

例えば、走行中断してサスセッテイング変更後、再走行しようとエンジン始動するととき。

例えば、レース直前スターティングマシンにバイクをセット後、マーシャルに従い一旦ENGストップ。

その後スタートに向けてENG始動しようとしたときに、なぜかチョークを引かなければ始動困難なとき。

いつもチョークで始動。何が起きている?

ガソリンを濃くしないと始動しない状態になってるという事です。

暖気後、通常ならばチョークは使用しません。オートチョークが付いたマシンであれば、その水温を検知して

チョークは作動しませんので、ENG始動すら出来ない。

手動式のチョークは付いたバイクだからこその利点なのですが、なぜチョーク引かないと始動しないのか?

ガソリンが薄い状態になっているのです。

結論:リードバルブの板が破損しているので交換が必要です!

リードバルブが割れると混合気がキャブレター側に吹き戻るので、2サイクルエンジンが

正常時に行う、掃気と圧縮の工程が正しく行われていない状態になっています。

リードバルブはキャブレターの下流位置で、一方通行のドアの役目をしています。

修理はリードバルブ板のみ交換すればおしまいです。簡単なものです。

どこが割れるのか

①先端の割れ。

②締結部付近の割れ

大きく2つです。

完全に割れていなくても、樹脂の場合は内部の繊維が割れている場合があります。

特に締結部付近は応力が集中しやすいので、局所的に内部が割れている場合が多いです。

内部が割れていると、そのSPG特性は低下していますので、バルブとしての開閉性能が低下しています。

また、板が割れる位置はそのリードバルブが最も仕事をしている窓というかドアが真っ先に割れます。

例えばCRケースリードだと右側の上側とか。よくチエックして癖をつかんで効率よくメンテしましょう。

その根拠説明

リードバルブは2サイクルエンジンの特徴的部品の一つです。

2サイクルエンジンは4サイクルエンジンのように混合気はピストンの往復運動による直接的な負圧や

吸気慣性によって燃焼室に混合気が入っていくわけではありません。

ピストンの裏側を使ったポンピング作用によってクランク室で1次圧縮が行われ、このポンピングによって

燃焼室に混合気がポートから吹き込まれます。

燃焼室に吹き込まれた混合気は燃焼室で2次圧縮工程に入ります。2次圧縮が開始されるとポートが

開いている間はポートから混合気が逃げてしまうのですが、1次圧縮が正しくかかっている状態だと、

混合気が燃焼室に押し込まれ続けるのです。

2stエンジンが大気圧以上の過給がかかるターボと近い構造を持っているといわれる由縁です。

この1次圧縮と2次圧縮を確実に行うために、『一方通行のドア』の機能を持つ”リードバルブがあります。

一方通行のドアが破損してしまっていると、キャブレター側に圧縮が抜け逆流します。

キャブレターへの負圧が正しく発生せず、GASが供給されにくくなるのです。

よってガソリンが薄い状態となり、チョークを引かなければエンジンがかかりにくなるのです。

リードバルブの必要な機能、性能、耐久性説明

ワンウエイバルブの一つです。片側にしか通路は開きません。

弾性のある板です。0.3㎜~0.5㎜の板です。

ピストンの上下によって発生するポンピング圧力をキャブレター側に逆流させず、燃焼室側に圧力をかけるため

に必要な部品です。ピストンの上下運動と同じ数だけ開閉しています。とても仕事量は多い部品です。

まるでJISの片振り疲労試験をやっているかのような過酷な条件下で彼は働いています笑。

7000rpm回るエンジンなら7000回/分のドアの開け閉めを行います。

きっちり開いてくれないと、混合気が正しくたくさん流れてくれませんし、

きっちり毎回閉じてくれないと、混合気の吹き戻しが発生します。

2stスクター量産車や廉価な車両はSUS材を使用します。

高性能な車両ではFRPやカーボン素材が使用されます。

FRPからカーボンに移行した理由は、軽く、そして強度があり、大量生産で安くなったからです。

リードバルブは奥が深い。エンジン特性が大きく変わります。

そうなんです。

ここまで読んでくれた人は理解できて来たかもしれません。

10000rpm回る2stエンジンなら10000回/分できっちり追従して開け閉めしないと、馬力も出ないし、

回転数も回らなくなるのです。

スプリングに近い特性が必要なのです。

固定荷重、作動荷重、バウンス、ジャンプ、応力。。。

リードバルブの板はカーボンでも板厚違いや繊維の方向違い、はたまた素材メーカー違いなど

たくさんのSPG特性を持ったリードバルブが存在します。

高回転ENGには固めの板で高回転時の開け閉め動作の追従性を。

低回転ENGには柔らかい板で、負圧が低い低回転域でもリフトしやすく、混合気がたくさん流れるように。

話しはつきませんので、今日はこのへんで。

まとめ

エンジンが温まっているのに、チョークを使用せねばENG始動しないのは、リードバルブが割れている。

交換は簡単。キャブを取り外し、インシュを取り外し、リードバルブBODYを取り外すだけで作業可能。

板は若干曲げが加えられているので、張り付ける裏表を注意してBOLT ON。

リードバルブ新品にすると、始動性の改善は当然として、

おそらくDR(ドライバビリティー)が激変するはず!!!

リードバルブは奥が深いです。

またね。

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