結論:全部標準にもどしてみる
いじるところが多い市販レーサーは迷ったらまず標準に戻すのが基本です。
社外チャンバー、エアクリーナーももとに戻してみる
社外チャンバーやサイレンサー、吸気側ではエアクリーナーエレメントやBOXの改造などを行うと良いことも
多々ありますが、シビアなセッテイングを必要とします。一旦ノーマルにしてみる事をお勧めします。
ノーマルに戻す。なぜならば、
OEMが通常社内でやってる開発ルーティンのようにベンチやシャシダイナモでの出力測定や指圧測定、
異常燃焼測定、などキャブセッティング結果を数値化出来ない場合、その作業は大変困難なものになります。
我々ユーザーはライダーの感覚、フィーリング頼りです。濃い方向から絞って行く作業になりますが、
体力、集中力、時間が必要です。
しかし、マシンに改造点がない場合は、キャブセッティングはノーマルにするだけです。調整で迷うことが
無くなります。
ぜひ、すべてノーマルで、まず普通に走るかどうか、確認を取りましょう。そこが重要です。
それでは基本形の話しのはじまり
こんにちは、今回はキャブセッテイングの基本形についてです。すぐ現物を触りたくなると思うのですが、
まずは とても有用な情報が満載のユーザーマニュアルのこのページから参照しましょう!
ユーザーマニュアルのマシンセッテイングページの確認
ユーザーマニュアルのマシンセッテイングページを確認します。
標準セッテイングと、高度と気温の違いによるセッテイングデータが書いてあります。
感覚に頼らず、BESTセッティングに最短で近づけます。
引用 本田技研工業(株)2000YM CR250Rユーザマニュアル
標準のセッテイングオーダーの確認
マシンセッテイングページには標準のデータが記載されています。これ重要です。
例えば2000CR250の場合キャブはケイヒンPWK38ですのでキャブオーダーは
メインジェット:#180 (一番重要です!数値をきっちり合わせてください)
スロージェット:#48 (2番目に重要です。始動性や低開度のレスポンスにとても影響)
ジェットニードル:A715/289R/A327/A487(1/2~2/3スロットル開度での急激な回転上昇制御に重要)
※普通の人はジェットニードルのテーパー角度違いは難易度高なので、ノーマルであることが最善です)
ジェットニードルクリップ段数:3段 (3番目に重要です。スロットル急開でのボギング有無に影響)
エアスクリュー戻し回転数:1-1/2
です。
中古のバイク、久しぶりに動かすバイク、だいたい変更されているのではないでしょうか。ぜひ一度すべてを
標準セッテイングしにて乗ってみてください。
マニュアルが無い場合はパーツリストを見ると、標準とオプションのセッテイングの範囲がわかります。
引用 本田技研工業(株) 2000YM CR250R パーツリスト
気温と高度の違いによるセッテイングの推奨値の確認
その次に見たいのは気温と高度の違いによるセッテイングの推奨値です。
外気温と標高でキャブセッテイングを変える必要があります。
例えばメインジェットでは標準#180に対して下限は#160、上限は#195までを案内しています。
これも重要です。ぜひ適切にセッテイングしてください。ぜんぜん変わります!
てか、マシンノーマルでも本来はこれだけの範囲でキャブセッテイングが必要って事です。
標準セッテイングは 高度0~299m、気温は14℃~26℃をカバーしており、春から秋の一般的な日本の環境を
カバーしていることがわかります。これに対して例えば6月のオフビで乗ってBESTと感じていたセッテイングは、
6月新潟の川西に行くと、ズレを感じます。高度と気温が異なるからです。
ぜひ参考にして、まずはいつ何時どこでもマシンのベース性能を維持することを行ってみてください。
実車の各ジェットの番手を確認
いま車両に何番のメインジェットが付いてるか?どんなセッテイングになっているか?ぜひ確認してみてください。
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プラグを新品に交換
2サイクルはキャブセッテイングの状態がプラグの焼け具合にシビアに現れます。一度調子を崩したプラグは
なかなか元の性能を発揮しないので、実機を見て調子悪そうだなと思ったら交換することをお勧めします。
エアークリーナーエレメントの状態を確認
エアクリーナーエレメントが土、ほこりで詰まった状態だと、空気の流入量は低下します。馬力は低くなります。
その状態でキャブセッテイングを取る事は難しく、またセッテイングが出た場合でも、フィルターを洗浄
してしまうと、またセッテイングはくるってしまいます。
いつもクリーンな状態のエレメントをキープしてください。
実車のキャブオーダーを標準セッティングにする
実績があるならば、そのオーダーから走行開始しますが、実績なないならばまずは標準値から初めてみてください。
標準セッテイングはだいたいの場合濃いめの状態になっていますので、ENGに対しても安全側であり、
出力特性的にもマイルド側ですので、最適です。
走行する
普通に乗る事が確認できたら、プラグを外して焼け具合を確認します。普通に走る時のプラグの見た目が
どんな状態か、今後の参考にして下さい。
気温と標高に合わせて、マニュアルの推奨セッテイングにする
一旦標準のセッテイングで乗ってみて、その後マニュアルの推奨値に変更することをお勧めします。
異なるセッテイングで乗っておくことで、キャブセッテイング違いによるドライバビリティの変化を
体感できます。これは今後のトラブル時や改善したい時にそのスキルが活きてきます。
また走行する
薄くしたら、どう変わったか?走りながら、いろいろな場所、シチュエーション、モードで確認してください。
走行したら、またプラグの焼け具合を確認します。今後のデーターベース作りです。
重点ポイント:無負荷でアクセルの各開角/各Neでパーシャルするかどうか。勝手に吹き上がるポイントが
無いかどうか。勝手に吹き上がるポイントがあるなら、そこは薄いので、濃くしなければ乗りにくいEng特性
となる。
その他 前提条件 フロート室油面について
キャブセッテイング前にフロート室の油面が適切に出ているか、とても重要です。
本来一番最初にこれもマニュアルにある油面に調整されている事を確認すべきことですが、かなり玄人領域の一つ
なので、ここまで読んでくれた方にご説明します。
油面が高いと全体的に濃くセッテイングが出ます。油面が低いと薄くでます。メインジェット等で相殺できますが、
基準がずれた状態になります。油面がずれる原因はフロートのゆがみ、フロートバルブまわりの摩耗によって、
フロートが浮かぶ高さとフロートバルブがGAS経路を閉じる高さが変わってしまいますので、変化します。
油面が低い場合、燃調が薄い事以外のネガは、ジャンプ着地やギャップ通過時に油面が暴れた際にGAS供給が
途切れやすくなりますので、低いのは避けたいところです。フロート室に溜まっているガソリンの絶対量と
その油面が低いから、負圧で吸い出されるGASの量が供給不足になりやすいのです。通称ボギングという事象が
発生しやすくなります。
ギャップ通過中に駆動力を出そうとしてアクセル急開すると回転がついて来ずにストールしそうになる状態です。
油面が高い場合、燃調が濃い事以外のネガは、ギャップ通過時にキャブが揺すられるのですが、
その際に余分なGASがオーバーフローして外に吐き出され易くなります。燃費というか、
燃料を外に捨てている状態になります。20Lガソリンを使い終わらないと家に帰れない的な1980年代式練習
をやっている人にはお勧めです。
まとめ
ぜひ日ごろから、今の自分の実車はどんなセッテイングになっているか、覚えておいて、乗って感覚を磨いて
みてください。
それではまたね。
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